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カードゲームは環境への関心度合いの違いが生み出す対立構造に気付き、対話のきっかけになるツール
- 最終更新日:2024-12-26
私たちプロジェクトデザインは、カードゲーム「2050カーボンニュートラル」を通してカーボンニュートラルについて理解を広げ、行動を促進するプロジェクトを推進しています。
ブランドマネージャーの竹田がプロジェクトを推進しながら出会った方・出来事・文献/ブログ/動画を通じて、カーボンニュートラルについて考えたことを言葉にし、ブログという形で発信しています。
この記事を読まれた方にカードゲーム「2050カーボンニュートラル」を体験してみたいと思っていただけたら幸いです。
参考:カードゲーム「2050カーボンニュートラル」ブログ一覧
今回お届けする内容は「カードゲーム『2050カーボンニュートラル』にかける想い」です。
それではどうぞ。
カードゲーム「2050カーボンニュートラル」にかける想い
プロジェクトデザインの竹田です。
この記事を書いている2023年8月。僕が住む富山をはじめ全国各地で、今月の猛暑日数が過去最高を更新しました。
参考:今夏、世界の平均気温は史上最高 EU気象情報機関、8月も記録|全国のニュース|京都新聞
国連においては2023年7月、グテーレス事務総長が「地球沸騰の時代が到来した」と声明を出しています。
カーボンニュートラル実現に向けた社会の機運が高まる一方で、カーボンニュートラルに対して無関心な人、疑義や違和感を抱く人がいるのも事実です。
こうした中、カーボンニュートラルに対する関心が高い人とそうでない人との隔たりが大きくなっているように感じます。
さてわたしたちは、環境問題にどう向き合っていくのが良いのでしょうか。

竹田 法信(たけだ のりのぶ)
富山県立富山中部高等学校卒業、筑波大学第三学群社会工学類卒業。大学卒業後は自動車メーカー・株式会社SUBARUに就職し、販売促進や営業を経験。その後、海外留学などを経て、地元・富山県にUターンを決意。富山市役所の職員として、福祉、法務、内閣府派遣、フィリピン駐在、SDGs推進担当を歴任。SDGsの推進にあたり、カードゲーム「2030SDGs」のファシリテーションを通して、体感型の研修コンテンツの可能性に魅せられ、プロジェクトデザインへの転職を決意。ファシリテーターの養成、ノウハウの高度化などを通して社会課題の解決を目指す。富山県滑川市在住。
日本人の気候変動問題に関する関心度合いは?
2023年3月22日、電通総研は、電通総研コンパスvol.9「気候不安に関する意識調査(国際比較版)」を公開しました。
調査によると、気候変動が人びとや地球を脅かすことを「極度に心配している」と「とても心配している」を合わせた割合は、日本では16%(フィリピンでは84%)。そして、気候変動を「心配していない」との回答が最も多かったのも日本です(14.6%)。
また「私が気候変動について話そうとしたとき、相手に無視または拒絶されたことがある」に該当するかの質問では、「他の人と気候変動について話さない」と回答した割合が日本は41.6%と最も高くなっています(その一方、「はい」が6.6%と最も低くなっており、気候変動について話そうとしたときに、相手に無視されたり拒絶されたりといったことがほとんど無いことも分かります)。
カーボンニュートラルや気候変動問題に取り組む人は、その前提として「日本人の気候変動に対する関心は高いとは言えない」という事実を知っておくことが大切だと思っています。
関心が高い人と低い人との間で起こっていること
カーボンニュートラルに本質的な関心を持つ人の多くは、カーボンニュートラルや気候変動問題に取り組んでいく必要性や可能性を感じています。その中には、気候変動問題に対して具体的な行動をしたり、取り組み内容を積極的に発信したりする人もいます。
一方、カーボンニュートラルに関心が向いていない人や反対を表明する人からすると、関心者はカーボンニュートラルに取り組むことを当然の前提としているように見えます。
こうした人たちにとっては、「カーボンニュートラルに対して疑問や違和感を抱くことが許されない」「自分は無関心であると打ち明けられない」「攻撃的なマウントをされている」と感じる場合もあるかもしれません。
こうして、両者の溝が深まっていくのだろうと思います。
カードゲームを使えば両者が対話できる!
現実社会でもゲームでも、カーボンニュートラルの取り組みにおける難しさは、「様々な主体の全員が、必ずしもカーボンニュートラルを目指している訳ではない」ことにあります。
市役所の環境担当者が地域企業に対し「排出削減をしていきましょう!」と呼びかけても、企業から協力を得られないことがあります。

カードゲーム「2050カーボンニュートラル」においては、各グループが自身の目標達成を目指して活動します。
あるグループは、温室効果ガス排出量の削減がゴール達成目標になっています。またあるグループは、温室効果ガスの排出量や吸収量などの環境指標ではなく「ゲーム終了時にどれだけの資金を獲得できたか」がゴール達成目標になっています。
つまり、現実社会と同様に「カーボンニュートラルを実践する人」と「カーボンニュートラルや環境問題に対してコミットしない人」がゲーム内に存在します。
これによって、ゲーム内で「双方の目標が達成し合う相乗効果」や「誰の目標も達成しない足の引っ張り合い」が起こります。
ゲーム終了後には、以下をテーマに体験者同士が対話を行います。
- ゲームでは、どんな気持ちだったか? 何を考えてどんな行動をし、どんな結果になったか?
- もう1回ゲームを実施するとしたら、何を考えてどんな行動をするか?
この対話を通して、「各グループがどんな目標を掲げるかによってゲーム結果の捉え方が全く異なる」事実に気付くことができます。
この対話こそが、ゲームの醍醐味なのです!
(先日の公認ファシリテーター養成講座でも、上記をテーマに深い対話がなされました。)
ゲームにおいては、環境に関心のあるグループと無関心のグループ双方が、その存在を対等に認め合い、それぞれが掲げる目標や行動に関心を持ち合うことができます。
こうした対話は、ゲーム内で共通言語を用い、共通体験をしているからこそ生み出されるのです。
この体験を現実世界と紐づけ、学びや気付きを深める過程で、「カーボンニュートラル実現のために他の主体と連携し、多くの人の参画を得るにはどうしたら良いか?」を、誰もが自らの言葉で言語化できるようになります。
双方が大切にしていることに関心を持ち合う
カーボンニュートラルや気候変動問題に取り組む際にしばしば目にするのは、「推進論者」VS「懐疑論者」と言われる二項対立の状況で、自らの正義を振りかざして主張する姿です。
そもそも、気候変動に無関心な人は、他の社会課題に関心を持っているかもしれません。同様に、気候変動に関心の高い人が他の社会課題に関心を持っているとは限らないのです。
わたしたちのニーズには、「自分のビジネスを繁栄させたい」「自分の住環境を守りたい」「地球を救いたい」といったことが存在しています。
カードゲームにおいても現実社会においても大切なのは、「双方が大切にしているニーズは何か?」に関心を持ち合うことだと思っています。
そこから、存在を承認し合って対話が始まるのだと思います。
そしてカードゲーム「2050カーボンニュートラル」によって、体験者は共通言語と共通体験を獲得することができ、場にいる全員がカーボンニュートラルをテーマに楽しく対話する状態を作ることができます。
ご案内

カードゲーム「2050カーボンニュートラル」は、過去から現在にかけて私たちが行ってきた様々な活動が地球環境にどのような影響を与えているのかをマクロ的に俯瞰することによって、私たちの価値観や考え方に気づき、行動変容に働きかけるためのシミュレーションゲームです。
ゲームでは、参加者が1つの組織のメンバーとして1~4人のチームを組み、 他のチームと様々な交渉を行いながら、組織の活動とプライベートの活動を行います。ある組織では獲得資金を増やすことを目指し経済活動を行っていきます。また、ある組織では排出削減量の目標に向かって環境活動を行っていきます。
こうした活動を通じて組織の目標達成を目指すプロセスにおいて、私たちの世の中のカーボンの状態がどのようになっていくのかをシミュレーション(模擬実験)します。
このゲーム体験を通して「なぜカーボンニュートラルが叫ばれているのか?」、そして「そのために、私たちは何を考えどう行動するのか?」に関する学びや気づきを得ることができます。
体験会の詳細はこちら
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