“デカップリング(経済と環境の好循環)のシミュレーション”とは|カードゲーム「2050カーボンニュートラル」コンセプトストーリー
- 最終更新日:2023-10-30
本稿では、カードゲーム「2050カーボンニュートラル」のコンセプトである “デカップリング(経済と環境の好循環)のシミュレーション” についての内容をご紹介します。
「経済と環境の好循環」とは?
“温暖化への対応を、経済成長の制約やコストとする時代は終わり、国際的にも、成長の機会と捉える時代に突入したのである”
これは経済産業省が策定した、経済と環境の好循環を作っていく産業政策「グリーン成長戦略」の一節です。地球温暖化問題の解決は待ったなしだからこそ、カーボンニュートラルの取り組みを持続的かつ力強く進めていくために、環境対策と経済成長を両立させる必要があります。
このグリーン成長戦略では、太陽光や水素など14の重点分野を選定し、企業の技術革新に向けた挑戦を後押しすることで「カーボンニュートラル」と「国民生活のメリット」の実現を目指しています。
- エネルギー関連産業
①洋上風力・太陽光・地熱産業(次世代再生可能エネルギー)
②水素・燃料アンモニア産業
③次世代熱エネルギー産業
④原子力産業
- 輸送・製造関連産業
⑤自動車・蓄電池産業
⑥半導体・情報通信産業
⑦船舶産業
⑧物流・人流・土木インフラ産業
⑨食料・農林水産業
⑩航空機産業
⑪カーボンリサイクル・マテリアル産業
- 家庭・オフィス関連産業
⑫住宅・建築物産業・次世代電力マネジメント産業
⑬資源循環関連産業
⑭ライフスタイル関連産業
- エネルギー関連産業
この「経済と環境の好循環」とは、分かりやすく表現すると「GDPの上昇と温室効果ガスの排出量削減」と言い換えることができます。
つまり、GDPが上昇しながら温室効果ガスの排出量削減ができているならば好循環が起こっているということです。これをデカップリング(経済成長と温室効果ガスの排出量の切り離し)といいます。例えば、ドイツ、スウェーデン、イギリスでは1990年以降、デカップリングを実現できています。
その一方で、メキシコやトルコではGDPと温室効果ガスの排出量が共に上昇する、カップリング(経済成長と温室効果ガス排出量の連動)の状態にあります。
参考:The decoupling of emissions and growth is underway. These 5 charts show how|World Economic Forum
ちなみに、日本では2013年まではカップリングの傾向にありましたが、それ以降はデカップリングの傾向にシフトしています(主な理由は太陽光発電による再生可能エネルギーの利用です)。
“デカップリングのシミュレーション”とは?
経済と温室効果ガスをデカップリング(分離)状態にシフトさせる(経済と環境の好循環をつくる)には、どうすれば良いのでしょうか?
「2050カーボンニュートラル」ではゲーム体験を通じて【経済】と【温室効果ガスの排出量】の変動をシミュレーションします。ゲームのプレイヤーは、自らが当事者としてカーボンニュートラルの実現に向けたアクションを実行し続ける中で、
- 経済と環境の好循環によってカーボンニュートラルが実現し得ること
- デカップリング(経済と環境の好循環)を実現する上で、カーボンニュートラルを「経済成長の機会」と捉え直すことが重要であること
について気付きや確信を得ることができます。
※スライドでシミュレーションのパターン例を確認できます
カードゲーム「2050カーボンニュートラル」のご紹介
カードゲーム「2050カーボンニュートラル」は、過去から現在にかけて私たちが行ってきた様々な活動が地球環境にどのような影響を与えているのかをマクロ的に俯瞰することによって、私たちの価値観や考え方に気づき、行動変容に働きかけるためのシミュレーションゲームです。
ゲームでは、参加者が1つの組織のメンバーとして1~4人のチームを組み、 他のチームと様々な交渉を行いながら、組織の活動とプライベートの活動を行います。ある組織では獲得資金を増やすことを目指し経済活動を行っていきます。また、ある組織では排出削減量の目標に向かって環境活動を行っていきます。
こうした活動を通じて組織の目標達成を目指すプロセスにおいて、私たちの世の中のカーボンの状態がどのようになっていくのかをシミュレーション(模擬実験)します。このゲーム体験を通して「なぜカーボンニュートラルが叫ばれているのか?」、そして「そのために、わたしたちは何を考えどう行動するのか?」に関する学びや気づきを得ることができます。
監修者プロフィール
竹田 法信
富山県立富山中部高等学校卒業、筑波大学第三学群社会工学類卒業。大学卒業後は自動車メーカー、株式会社SUBARUに就職し、販売促進や営業を経験。その後、海外留学などを経て、地元・富山県にUターンを決意。富山市役所の職員として、福祉、法務、内閣府派遣、フィリピン駐在、SDGs推進担当を歴任。SDGsの推進にあたり、カードゲーム「2030SDGs」のファシリテーションを通して、体感型の研修コンテンツの可能性に魅せられ、プロジェクトデザインへの転職を決意。ファシリテーターの養成、ノウハウの高度化などを通して社会課題の解決を目指す。富山県滑川市在住、地元・富山県滑川市総合計画審議会委員。
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