「カードゲーム×探究学習プログラム」で実現したい2つのこと
- 最終更新日:2023-10-30
プロジェクトデザインの大槻です。
私たちプロジェクトデザインでは、社会や組織の問題解決に向けたカードゲームを開発しています。またさまざまな企業様からご依頼いただき、社会で求められるスキル(チームビルディングやコミュニケーション、ロジカルシンキング、システム思考など) を学ぶ研修を、カードゲームを活用した体験型プログラムとして提供しております。
この活動を続ける中で、こうしたスキルを社会に出てから学ぶのではなく、学校教育、特に新たな教育課程の1つである「総合的な学習(探究)の時間」の中で学べるような機会をつくりたいと考えました。
そこで、プロジェクトデザインが培ってきた研修ノウハウを盛り込み、探究学習ツールとして開発・リリースしたのが、「カードゲーム×探究学習プログラム」です。
この記事では、ブランドマネージャーの大槻が 「カードゲーム×探究学習プログラム」を通して実現したいことをお伝えします。
- 探究学習のやり方や進め方に悩まれている先生方
- 探究学習を通して子ども達の教育に関わりたい地域の方や企業の方
- 探究学習を活用した独自の教育政策を模索している自治体・教育委員会の方々
そんな探究学習への課題や悩みを抱く皆さまの一助となれば幸いです。
「探究学習」に悩める教育現場を、カードゲームで救う
2023年現在、当社のカードゲームは全国100校以上の授業でご活用いただいています。
有り難いことに、教員の皆様から「当校でも活用したい!」という熱いメッセージが絶えず、導入に向けての準備を進めています。
そもそも、なぜ教員の皆さんは競い合うようにして授業にカードゲームを取り入れようとするのか。その背景の1つには、「必履修科目の策定」が挙げられます。
2022年、新たに必履修科目として設定されたのが「総合的な探究の時間」、いわゆる「探究学習」です。
2021年度までは、学校ごとの “努力義務” として「総合的な学習の時間」が設けられていました。しかし、社会の潮流により、問われる能力が変化したのです。
- 課題発見から解決するまでの能力
- 新たな価値を創造するための思考能力やコミュニケーション能力
これらの能力の育成のため、探究学習が必履修化となって教育現場に降りてきたと捉えられるでしょう。
しかし、教育現場には探究学習を展開するノウハウがない。では、どうしたら良いのか。
そこでお役に立てるのが、我々のカードゲームです。
当社のカードゲームは「社会課題を解決する」目的で開発しており、ゲームを通して抱える課題にアプローチします。お陰様で、官公庁や企業・教育の現場でも広くご活用いただいており、その声を拾った先生方から日々お問い合わせをいただいている状況です。
探究学習への悩みを持つ先生方へ「是非、ご活用ください!」 とお伝えしたいところですが、全国津々浦々の学校で提供するには、当社の人的リソースが足りません。
それならば、全国の公認ファシリテーターの皆さんに協力を仰ごう!
そうして、全国各地で個々にご活躍されている公認ファシリテーター(当社のカードゲームライセンスを取得されたファシリテーター)の皆さんと始めたサービスが、「カードゲーム×探究学習プログラム」なのです。
子どもたちの未来へ希望を。実現したい2つのこと。
ここまで、「カードゲーム×探究学習プログラム」を作った背景をご紹介しました。私がこのサービスを通して実現したいことは2つあります。
1つ目は、「ゲーム×探究学習」という新たな教育文化を築きあげること。
「ゲーム」と聞けば「楽しい」「熱中する」というイメージがあるかと思いますが、そのゲーム内で生み出されるエネルギーを、未来の希望へ繋げていきたいのです。
当社の探究学習のプログラムは、ゲームと専用のワークブックを活用して「自ら取り組みたい(チャレンジしたい)こと」を具体的に表現します。その過程でも「課題設定→情報収集→整理・分析→まとめ・発表」といった探究学習のサイクルがしっかり回るよう設計していますが、子どもたち一人ひとりが自ら起点となって社会で活躍する姿を思い描くことは、未来への希望やワクワク感の創出に繋がり、ひいては他教科の学習とも相互に作用することでしょう。
そして2つ目が、「ゲーム×探究学習」教育を標準化させること。
「ゲーム×探究学習」教育の標準化とは、「全国のどの学校でも、カードゲームを活用した質の高い探究学習が提供できる」状態を指します。この仕組みを生み出し、探究学習における教育格差の解消を目指したいと考えています。
自分起点で描く、「ワクワク」できる将来の自分の姿
私がこのサービスを通して実現したいことを2つ掲げましたが、これを提示した理由が2つあります。
- 若者の自国に対する意識の低さに強いショックと大きな危機感を抱いたから
- 遅かれ早かれ、探究学習の『教育格差』が確実に起こるという危機感を持ったから
1つ目は「若者の自国に対する意識の低さに強いショックと大きな危機感を抱いたから」、自己肯定感や自己価値の向上に繋げたいと考えたのです。
2019年に実施された「日本財団『18歳意識調査』第20回 テーマ:『国や社会に対する意識(9カ国調査)』」によると、設問「自分で国や社会を変えられると思う」で日本は「はい」と回答した人の割合が18.3%と、他国の平均と比べて30ポイント以上も低い数値となっています。
参照:日本財団「18歳意識調査」第20回 テーマ:「国や社会に対する意識」(9カ国調査)|日本財団
この結果が示すのは、「子どもたちの意識が低い」という単純な問題ではなく、「子どもたちの自己肯定感や自己価値が育ちにくい状況にある」という、日本社会全体の問題ではないかと私は考えています。
では、この自己肯定感や自己価値を高める方法には何があるだろうか。
この問いに対し、私なりに辿り着いた結論は、ズバリ、「好奇心や楽しさといったワクワク感を教育でも生み出すこと」です。
なぜなら、VUCA時代(予測不可能で正解のない時代)と言われる現代、言われたことや与えられたことをこなすよりも、自ら考え想像する力が求められており、これらの力を伸ばす原動力こそ、好奇心や楽しさといったワクワク感だからです。
このワクワク感の中から自ら課題を見つけ、向き合い、そして周囲を巻き込みながら対話的に課題解決を進める中で、自己肯定感や自己価値が大きく育まれるのではないかと考えます。
では、このワクワク感を生み出すためには?
そう、当社のカードゲームが有効です! なぜなら、カードゲームを全力で楽しむ中で、体感によるさまざまな気付きが得られるからです。
- 成功からも失敗からも学びが多くあること
- 自分の行動が周囲や社会に影響を与えていること
- 周囲と協力、協調するといった連携が思いがけない発想や効果に繋がること
そうしてカードゲーム体験から得た学びは、専用のワークブックの活用によって「自ら取り組みたい(チャレンジしたい)こと」の具体的な表現に繋がります。
そこから自分の将来の姿(社会の課題を解決する姿、社会を変えられる起点となる姿)を思い描き、未来への希望やワクワク感が増幅され、最終的に自己肯定感や自己価値の向上に繋がると確信しています。
探究学習における教育格差は、既に広がり始めている
そして、「カードゲーム×探究学習プログラム」で実現したいことを設定した2つ目の理由「遅かれ早かれ、探究学習の『教育格差』が確実に起こるという危機感を持ったから」、誰もが子どもたちに質の高い探究学習を提供できる状態をつくり教育格差の是正に繋げたいと思ったのです。
私は探究学習とは、「答えや正解のない事柄を深く掘り下げていく過程や辿り着いた結論の表現などから様々な力を伸ばす学びの手法」であると考えています。
皆さんの探究学習のイメージはどのようなものでしょうか。
言語化してみると回答は人それぞれだと思いますが、共通して言える要素は「答えや正解が無いこと」だと考えられます。
そのため、子どもたちが探究学習に取り組む前提で指導者に必要なスキルは、ティーチングではなく「ファシリテーション」であると言えます(これは学習指導要領にも明記されています)。
このように、探究学習は従来の学習指導と異なる新たな学習手法です。しかしながら、多忙を極める教員の皆さまが、新しい分野を学び・習得する時間はあるのでしょうか?
もちろん、子どもたちに質の高い探究学習を提供するためのリソース(ヒト・モノ・カネ・情報)を整えている学校は問題ないかと思います。しかし、現状多くの学校はこれらのリソースが何かしら不足しており、その差からますます「教育格差」が広がってくるのではないか、と危惧しているのです。
文部科学省の学習指導要領には、子どもたちの「生きる力」を伸ばすことが掲げられています。
この「生きる力」を伸ばすためには、本来、学習機会の格差があってはならないはずです。
しかし、その思いとは裏腹に、教育格差は今後広がりを見せるでしょう。ではそれを是正するにはどうしたら良いか。
そこで至った結論が、私たちが提唱する「カードゲーム×探究学習」という新たな教育文化を標準化させることでした。
全国どの地域でも、どの学校でも、現役の先生でも外部の人でも、誰もが子どもたちに質の高い探究学習を提供できる状態をつくることが教育格差の是正に繋がると私は信じています。
誰もが平等に「生きる力」を得られる世界へ
我々の提供するサービス「カードゲーム×探究学習プログラム」は、プロジェクトデザインが掲げる理念である
“志ある行動者たちを結びつけ、高めあい、社会を取り巻く問題を解決する”
を具体化し、誰もが平等に「生きる力」を得られる世界を創る後押しをしてくれるものだと思っています。
そんな世界を創り出したい志のある方、是非、私たちと一緒に実現に向けて行動を共にしましょう!
ご案内
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
「カードゲーム×探究学習プログラム」を体験したいと思ってくださった方は、是非、ご体験ください。
また、カードゲームを活用した研修やワークショップによって、お客様(クライアント様)の解決策を提案するコンサルタントや、ゲーム研修を運営する研修講師、カードゲームコンテンツを世に広げるプロジェクトマネージャーなど、私たちと一緒に働いてくださる仲間を募集しております。
詳細は、こちらをご覧ください。
この記事の著者について
大槻 拓美(おおつき たくみ)
長野県伊那市出身、2001年4月伊那市役所入庁。徴税業務、結婚支援業務、地方創生担業務などを担当。プライベートでは高校生や大学生が地域と関わる活動の支援や、地区の交通安全協会会長を担うなど幅広く地域活動に参加。また、5,000人以上が参画する公務員限定SNSコミュニティ「オンライン市役所」で、LIVE配信 “庁内放送” のパーソナリティを務めた。カードゲームのファシリテーターとして高校や大学、企業などの研修会にも多数登壇。こうした活動を通じてゲーム開発元の (株)プロジェクトデザインの経営理念に共感し、2022年4月に同社へ転職。カードゲーム「moritomirai(モリトミライ)」「CHANGE FOR THE BLUE」カードゲームなどのファシリテーターを務める。
- 富山県滑川市総合計画審議会委員(2023年度~)
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