「楽しさ」と「学び」を両立するSDGsカードゲームのご紹介
- 最終更新日:2024-04-22
私たちプロジェクトデザインでは「SDGs」や「地方創生」などをテーマにしたゲームを普及させることで社会課題の解決に挑戦しています。
大きな課題や問題を解決するには、より広く・効果的に伝え、多くの人の知恵を結集し、具体的な行動を起こしてもらう必要があります。その手段として何が良いのか。私たちが多くの挑戦の結果たどり着いたのが『ゲーム』というテクノロジーです。
今回はプロジェクトデザインが制作に関わったSDGsカードゲームをご紹介します。SDGsの取り組みを進めていく上での参考情報としてお役立ていただけますと嬉しく思います。
プロジェクトデザインのSDGsカードゲームの特長
熱狂を伴うリアルな体験が、腹落ちを伴った理解を促す
私たちプロジェクトデザインの制作するSDGsカードゲームは、ビジネスゲームと呼ばれるジャンルのゲームです。
ビジネスゲームには、ゲームならではの楽しさ(や手軽さ)がありつつも、そのゲーム中に体験する内容はリアル(現実的)です。
なぜなら、ビジネスゲームには現実世界(実際のビジネスや社会活動)の仕組みをゲームロジックとして組み込んでいるからです。例えば、カードゲーム「2050カーボンニュートラル」は、カーボンニュートラルの実現に向かって企業が取り得る行動パターンや、行動の結果として起き得る状況の変化をゲームロジックに組み込んでいます。
ビジネスゲームの参加者は、リアルなゲームの中で、現実世界における自身の価値観や考え方、過去の成功体験などを無意識に当てはめながら、成功や失敗を繰り返し経験できます。
上手く行った時は喜び、失敗した時は悔しくなる。次はこうすれば良いのではないかという作戦やアイデアを閃き、それを試す。そして新たな展開が拓けていく……。現実世界では、成功体験や失敗経験を積むことには時間も労力もかかるものですが、ゲームの世界の中では短時間で何度も成功と失敗を繰り返すことができます。
それに加えて、ビジネスゲームはチーム戦で取り組みます。一人ひとりの感情や考え・アイデア、行動の結果(成功や失敗)をチームで共有し合うことでゲームの場は大きく盛り上がり、参加者はゲームに熱狂していきます。
こうした熱狂を伴うリアルな体験があるからこそ、ゲーム参加者は講義形式による知識獲得型(頭で理解する形)の研修では得られない、腹落ちを伴った理解をすることができます。
SDGsカードゲームのご紹介
SDGsの本質を理解する「2030SDGs」
カードゲーム「2030SDGs(ニイゼロサンゼロ エスディージーズ)」は、プロジェクトデザインと一般社団法人イマココラボとの共同開発によって生まれました。
「SDGsとは何か」を広く知ってもらうこと。私たち1人1人の、1つ1つの選択がきっかけとなり、ゆくゆくは地球環境全体に大きな影響を与えていくと理解してもらうことを重視しています。
「2030SDGs」は2016年に生まれ、以降、多くの企業や自治体・官公庁、学校で導入されています。2019年にはニューヨークにある国連本部でも利用されるなど、SDGsを体験的に理解する代表的なゲームとして知られています。
ゲームの概要
「2030SDGs」は参加者が2~3人でチームを組み、プロジェクトを行うことでゴール(目標)達成を目指すビジネスゲームです。
ゴールには「豊かになりたい」「経済的に成功したい」「力を行使したい」「幸せな家庭を築きたい」など様々な選択肢があり、参加者は自身の価値観に合うゴールを選びます。
参加者は自分のゴール達成に向けて最適と思われるプロジェクトを進めますが、それぞれが自身の目的にフォーカスして一生懸命に動けば動くほど、ゴールの達成から遠ざかってしまいます。また、自分たちの存在基盤である地球そのものにも悪い影響を及ぼします(参加者が行うプロジェクトの結果は世界の環境・社会・経済の状況に影響を与えます)。
ゲームと関連するSDGsの17の目標
SDGs17「パートナーシップで目標を達成しよう」
SDGsの考え方を地域活性化に活かす「SDGs de 地方創生」
「SDGs de 地方創生」カードゲームは、プロジェクトデザインとissue+design との共同開発によって生まれました。SDGsの考え方を地域の活性化に活かし、地方創生を実現する方法について参加者全員で対話し、考えるためのゲームです。
私たちプロジェクトデザインでは1年以上にわたる「SDGs de 地方創生」の開発とテストプレイを通じ、日本の各地域が抱える課題も、世界が抱える課題と根本原因や構造が相似形であることに気づきました。
SDGsの考え方を理解することは地方創生にも役立てられることを直観的・体感的に感じていただき、そして具体的なアクションへとつなげることを促進します。
ゲームの概要
「SDGs de 地方創生」は参加者がある架空のまちの住人として6~48人でチームを組み、12年間の地方創生プロジェクトに取り組むビジネスゲームです。SDGsを基にした自分の志を形にしながら、持続可能なまちをつくることがゴールになります。
「SDGs de 地方創生」のまちの状態は「人口」「経済」「環境」「暮らし」の4つの指標で表されます。何もしなければ徐々に人口が減っていく中で、12年後も持続可能なまち(豊かに過ごせるまち)となるのか、残念ながら消滅可能性が高い都市になるのかはゲーム参加者1人1人の行動によって変わります。
参加者は、行政(税収から資金の使い道を決定する役割)と市民(一次産業従事者やまち工場の経営者、一市民などの地域の人々)の2つの役割に分かれて、それぞれに異なるゴールや思惑で動きます。プロジェクトの実行にはお金と資源・リソースが必要なため、行政と市民が協力することが重要です。
また、“保育・教育の無償化” や “ライドシェア事業” など、具体的なプロジェクトを実践したときに生じる効果は参加者には明かされていません。
プロジェクトがまちに良い影響をもたらすのか、期待はずれに終わるのか、はたまた、まちにネガティブな影響をもたらしてしまうのか。自分の行動1つ1つがまちに与える影響を考えながらプレイする必要があります。
ゲームと関連するSDGsの17の目標
SDGs11「住み続けられるまちづくりを」
事業を通じた社会課題解決を考える「SDGsアウトサイドインカードゲーム」
「SDGsアウトサイドインカードゲーム」は、プロジェクトデザインと株式会社オークジャパンとの共同開発によって生まれました。
アウトサイドインとは、自社起点のプロダクトアウト・市場ニーズ起点のマーケットインとは異なる、社会課題の解決を起点としたビジネスアプローチです。
世界が直面する環境問題や社会課題をビジネスの力で解決することにチャレンジし、新たなイノベーションで持続可能な社会を目指すことを学べるゲームです。パートナーシップ(協働関係)の大切さ、事業における “Will” の意味や価値、企業活動におけるSDGsの活用や事業創造の考え方を理解できます。
ゲームの概要
「SDGsアウトサイドインカードゲーム」は参加者が1~6人に分かれて1つの企業としてチームを組み、新規事業を通じて社会課題を解決することで収益の最大化を目指すビジネスゲームです。最大60人(10チーム)が同時参加可能です。
新規事業は創造するだけではお金にならず、プロモーションを行って認知を広めることで資金が得られます。現実世界同様に、事業の拡大(事業創造と認知拡大)によって初めて社会課題の解決に繋がり、資金を回収できます。
このゲームの難しさは、具体的にどのような新規事業に取り組むかを絞り込むことにあります。海洋汚染や途上国の貧困・栄養不足、人権問題などの様々な社会課題がある中、自チームが取り組む新規事業によってどんな課題解決に貢献できるでしょうか?
目の前には様々な情報が氾濫し、新規事業の可能性が無数に広がっていますが、自分の事業創造に必要なものを取捨選択する判断が必要です。
その際に指針となるのは、各自が持っている “Will(志・ビジョン)” です。“Will” には、貧困をなくそう(ゴール1)や飢餓をゼロに(ゴール2)など、SDGsの17の目標(ゴール)のうち1~16番が設定されています。この “Will” に沿ってプレイすることで、自身が実現すべき新規事業が見えてきます。
ゲームと関連するSDGsの17の目標
SDGs17「パートナーシップで目標を達成しよう」
より良い未来に向けたアクションを考える「The Action!~SDGsカードゲーム~」
ゲームの概要
「The Action!~SDGsカードゲーム~」は、世界規模の社会課題解決の取り組みであるSDGsについての理解を深めるとともに、私たちの生活の中でSDGsがどのように関わっているのか、社会課題が私たちの暮らしや仕事にどのような影響を与えるのかをゲームの世界でシミュレーションします。
シミュレーションの結果、私たちの目の前に訪れる未来は社会課題が解決されない “不都合な未来” になるかもしれませんが、その不幸を回避するために、よりより未来を引き寄せるためには私たちはどうすれば良いのでしょうか?
この問いの答えは様々に考えられますが、本ゲームでは「私たち1人1人がアクションを起こすことの大切さを自覚すること」を1つの答えとして伝え、現実世界で起こす具体的なアクションを考える機会をご提供します。
ゲームと関連するSDGsの17の目標
SDGs17「パートナーシップで目標を達成しよう」
気候変動の見える化が行動変容を導くカードゲーム「2050カーボンニュートラル」
ゲームの概要
カードゲーム「2050カーボンニュートラル」は、過去から現在にかけて私たちが行ってきた様々な活動が地球環境にどのような影響を与えているのかをマクロ的に俯瞰することによって、私たちの価値観や考え方に気づき、行動変容に働きかけるためのシミュレーションゲームです。
ゲームでは、参加者が1つの組織のメンバーとして1~4人のチームを組み、 他のチームと様々な交渉を行いながら、組織の活動とプライベートの活動を行います。ある組織では獲得資金を増やすことを目指し経済活動を行っていきます。また、ある組織では排出削減量の目標に向かって環境活動を行っていきます。
こうした活動を通じて組織の目標達成を目指すプロセスにおいて、私たちの世の中のカーボンの状態がどのようになっていくのかをシミュレーション(模擬実験)します。
このゲーム体験を通して「なぜカーボンニュートラルが叫ばれているのか?」、そして「そのために、私たちは何を考えどう行動するのか?」に関する学びや気づきを得ることができます。
ゲームと関連するSDGsの17の目標
SDGs13「気候変動に具体的な対策を」
海洋ごみ問題を自分ごとに捉えられる「CHANGE FOR THE BLUE」カードゲーム
ゲームの概要
「CHANGE FOR THE BLUE」カードゲームは海洋ごみ問題について考えるゲーム型のアクティブラーニング学習教材です。小学生高学年から中学生向けの授業でご利用いただけます。
海洋ごみ問題は遠い未来の話ではなく私たちのすぐ身近に迫っています。
けれども、このような大きな社会課題を前にすると、自分1人でやれることは小さく感じられ、中々行動に移せないものです。本ゲームを通して、海洋ごみ問題を自分事として理解することで “海洋ごみを減らす行動” の第一歩となれば幸いです。
ゲームと関連するSDGsの17の目標
SDGs14「海の豊かさを守ろう」
豊かな森の未来を考えるカードゲーム「moritomirai(モリトミライ)」
「SDGs de 地方創生」カードゲームは、プロジェクトデザインとissue+design との共同開発によって生まれました。SDGsの考え方を地域の活性化に活かし、地方創生を実現する方法について参加者全員で対話し、考えるためのゲームです。
私たちプロジェクトデザインでは1年以上にわたる「SDGs de 地方創生」の開発とテストプレイを通じ、日本の各地域が抱える課題も、世界が抱える課題と根本原因や構造が相似形であることに気づきました。
SDGsの考え方を理解することは地方創生にも役立てられることを直観的・体感的に感じていただき、そして具体的なアクションへとつなげることを促進します。
ゲームの概要
カードゲーム「moritomirai(モリトミライ)」は、小学校高学年から大人まで、幅広い年齢層を対象としたカードゲームです。
山の所有者、森林組合、猟師、行政職員、住宅メーカー、学校の先生など様々な仕事やゴールを持った10種類のプレイヤーたちが、仕事や生活のアクションを繰り返し、森と私たちの未来が刻々と変化する中で「森の未来」について考えます。
ゲームと関連するSDGsの17の目標
SDGs15「陸の豊かさも守ろう」
持続可能な消費と生産を体感するビジネスゲーム「サステナブルチェーン」
「SDGs de 地方創生」カードゲームは、プロジェクトデザインとissue+design との共同開発によって生まれました。SDGsの考え方を地域の活性化に活かし、地方創生を実現する方法について参加者全員で対話し、考えるためのゲームです。
私たちプロジェクトデザインでは1年以上にわたる「SDGs de 地方創生」の開発とテストプレイを通じ、日本の各地域が抱える課題も、世界が抱える課題と根本原因や構造が相似形であることに気づきました。
SDGsの考え方を理解することは地方創生にも役立てられることを直観的・体感的に感じていただき、そして具体的なアクションへとつなげることを促進します。
ゲームの概要
サステナブルチェーンは参加者が10~48人でチームを組み、チームの中で、原料生産者・卸/メーカー・小売店・消費者層の4つの役割に分かれて、それぞれの役割のゴール達成を目指します。
ゲームのルールは非常にシンプルです。バリューチェーンの前後のプレイヤー同士が「仕入れる・つくる・売る」のアクションを通じて商品取引を行います。
- 原料生産者」は、原料を加工して生地素材をつくり、卸/メーカーに売る
- 卸/メーカーは、仕入れた生地素材を加工して服飾商品をつくり、小売店に売る
- 小売店は、服飾商品をファッションとして企画した販売商品をつくり、消費者層に売る
- 消費者層は、販売商品を買い、自身のニーズを満たす
ゲームと関連するSDGsの17の目標
SDGs12「つくる責任つかう責任」
終わりに
今回ご紹介させていただいたSDGsに関するカードゲームを活用した研修や講演を依頼したいという方は、是非、お問い合わせください。
相談ベースのお問い合わせも大歓迎です!
この記事の著者について
執筆者プロフィール
池田 信人
自動車メーカーの社内SE、人材紹介会社の法人営業、新卒採用支援会社の事業企画・メディア運営(マーケティング)を経て、2019年に独立。人と組織のマッチングの可能性を追求する、就活・転職メディア「ニャンキャリア」を運営。プロジェクトデザインではマーケティング部のマネージャーを務める。無類の猫好き。しかし猫アレルギー。
監修者プロフィール
長瀬 めぐみ
岐阜県高山市出身、富山県滑川市在住。実家が100年以上続くお菓子屋を営んでおり、幼少期より観光や地域産業が身近な環境で育つ。高校時代、同級生が家業を知らない現実にショックを覚え、地域創生に関心を持ち始める。短大卒業後、すぐにUターン。まちづくりのNPOで子どもの教育支援や大学のない中山間地域へ若者を誘致するインターンシップ、農業支援などの取り組みで4年間で延べ600人以上の学生と関わる。様々な活動の中で、地域が元気になるためには、地元の若者が育つ仕組みと地域の大人が楽しんで地域に参画する土壌づくりの必要性を感じ、公立高校で学校と地域をつなぐコーディネーターなども務めた。体験から気づき、意識・行動変革をもたらすゲームコンテンツに魅力を感じ、全国に広めたい!とプロジェクトデザインに参画。地元飛騨が大好き。
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