「カーボンニュートラル」という言葉をみんなでどんどん使っていきましょう!(商標登録失敗談)
- 最終更新日:2024-06-19
私たちプロジェクトデザインは、カードゲーム「2050カーボンニュートラル」を通してカーボンニュートラルについて理解を広げ、行動を促進するプロジェクトを推進しています。
ブランドマネージャーの竹田がプロジェクトを推進しながら出会った方・出来事・文献/ブログ/動画を通じて、カーボンニュートラルについて考えたことを言葉にし、ブログという形で発信しています。
この記事を読まれた方にカードゲーム「2050カーボンニュートラル」を体験してみたいと思っていただけたら幸いです。
参考:カードゲーム「2050カーボンニュートラル」ブログ一覧
今回お届けする内容は「『カーボンニュートラル』という言葉をみんなでどんどん使っていきましょう!(商標登録失敗談)」です。
それではどうぞ。
「カーボンニュートラル」という言葉をみんなでどんどん使っていきましょう!(商標登録失敗談)
プロジェクトデザインの竹田です。
近年「カーボンニュートラル」という言葉は国の施策や活動、メディアの影響等で広まりを見せています。私たちプロジェクトデザインでもゲーム名に「2050カーボンニュートラル」という単語を使用していますが、これは特許庁に登録された商標ではありません。
つまり、誰でも「2050カーボンニュートラル」という文字を使うことができる(独占排他的に使用することはできない)のです。
私たちはこの事実を、特許庁へ商標登録を出願したことで立証しました(と言うとかっこいいですが、実際は失敗談です)。そこで今回は、その経緯についてお話ししたいと思います。
竹田 法信(たけだ のりのぶ)
富山県立富山中部高等学校卒業、筑波大学第三学群社会工学類卒業。大学卒業後は自動車メーカー・株式会社SUBARUに就職し、販売促進や営業を経験。その後、海外留学などを経て、地元・富山県にUターンを決意。富山市役所の職員として、福祉、法務、内閣府派遣、フィリピン駐在、SDGs推進担当を歴任。SDGsの推進にあたり、カードゲーム「2030SDGs」のファシリテーションを通して、体感型の研修コンテンツの可能性に魅せられ、プロジェクトデザインへの転職を決意。ファシリテーターの養成、ノウハウの高度化などを通して社会課題の解決を目指す。富山県滑川市在住。
商標登録へ挑み、立証された事実
遡ること、約1年前の2022年12月。
私たちプロジェクトデザインは、カードゲーム「2050カーボンニュートラル」を商標名として、特許庁へ商標登録を出願しました。
その目的は商標権を自ら行使するためではなく、「カードゲーム」「2050」「カーボンニュートラル」等の言葉を独占排他的に使用しようとする第三者が今後出現した時に備えて防御策を取るためです。
これに対し、2023年6月、特許庁より「商標登録は認められない」、つまり独占排他的に使用することができない旨の連絡がきました。
商標登録が認められない理由は、公表資料のため下に詳述します。
商標登録ができなかったのは残念ですが、拒絶理由の中で “我が国政府に係る上述の施策を表す著名な標章「2050年カーボンニュートラル」” と特許庁に言わしめたことが印象的です。
また、1つの成果と言えるのが、「2050カーボンニュートラル」に類似する文字を使い、他の誰が商標登録にチャレンジしようとも登録されないことを、私たちが身を持って立証できたことです。
私たちプロジェクトデザインとしては、「2050」「カーボンニュートラル」等の言葉はどんどん広がって欲しいし、それが取り組みの加速に繋がっていくと思っています。
というわけで、今後、第三者によって独占排他的に商標が使用される憂いはないと言えます。みんなでカーボンニュートラルに向けた取り組みを力強く進めていきましょう!
また、カードゲーム「2050カーボンニュートラル」と類似の標章コンテンツがこの世に誕生することは、個人的に歓迎です(ただし、ユーザーがどのコンテンツなのかを明瞭に判別できることは重要ですね)。
なお、他社が提供されている体験型のゲームには以下のようなものがあります。ゲーム体験で得たものを糧にして実行動へ移すことが、カーボンニュートラルな未来を描く第一歩となります! 是非、みなさんも一度体験してみてください。
<他社製のカーボンニュートラル/脱炭素/気候変動をテーマとした体験型ゲーム>
拒絶理由通知書
理由
■第4条第1項第6号(国、地方公共団体等の著名な標章)
この商標登録出願に係る商標(以下「本願商標」といいます。)は、「カードゲーム「2050カーボンニュートラル」」の文字を標準文字で表してなるものです。
ところで、本願商標構成中の「2050カーボンニュートラル」の文字は、令和2年10月26日 第二百三回国会における菅内閣総理大臣所信表明演説において、菅内閣総理大臣が、2050年までに、温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、すなわち2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指すことを宣言しているところ、「2050年カーボンニュートラル」の文字は、関係府省・自治体等が、脱炭素社会の実現に向けた各施策・事業の名称として使用していることが以下の引用情報から確認することができます。
そうすると、本願商標は、我が国政府に係る上述の施策を表す著名な標章「2050年カーボンニュートラル」と同一の文字を有してなるものですから、公益に関する事業であって営利を目的としないものを表示する著名な標章と類似のものです。
したがって、この本願商標は、商標法第4条第1項第6号に該当します。
(引用情報)
1.「令和2年10月26日 第二百三回国会における菅内閣総理大臣所信表明演説 | 令和2年 | 総理の演説・記者会見など | ニュース」の見出しの下、「我が国は、二〇五〇年までに、温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、すなわち二〇五〇年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指すことを、ここに宣言いたします。」との記載がある。
令和2年10月26日 第二百三回国会における菅内閣総理大臣所信表明演説 | 令和2年 | 総理の演説・記者会見など | ニュース | 首相官邸ホームページ(2023年6月23日最終閲覧)
2.「2050年カーボンニュートラルの実現に向けて」の見出しの下、「国と地方の協働・共創による地域における2050年脱炭素社会の実現に向けて、特に地域の取組と密接に関わる「暮らし」「社会」分野を中心に、国民・生活者目線での2050年脱炭素社会実現に向けたロードマップ及びそれを実現するための関係府省・自治体等の連携の在り方等について検討し、議論の取りまとめを行うため、「国・地方脱炭素実現会議」を開催しています。」との記載がある。
2050年カーボンニュートラルの実現に向けて | 地球環境・国際環境協力 | 環境省(2023年6月23日最終閲覧)
3.「2050年カーボンニュートラル宣言と現状の評価」の見出しの下、「菅内閣総理大臣は2020年10月26日の所信表明演説において、我が国が2050年までにカーボンニュートラルを目指すことを宣言しました。加えて、2021年4月には、菅内閣総理大臣は、地球温暖化対策推進本部及び米国主催の気候サミットにおいて、「2050年目標と整合的で、野心的な目標として、2030年度に、温室効果ガスを2013年度から46%削減することを目指す。さらに、50%の高みに向けて、挑戦を続けていく」ことを表明しました。」との記載がある。
第1部 第2章 第3節 2050年カーボンニュートラルに向けた我が国の課題と取組 │ 令和2年度エネルギーに関する年次報告(エネルギー白書2021) HTML版 │ 資源エネルギー庁(2023年6月23日最終閲覧)
4.「『2050年カーボンニュートラルの実現に資する学校施設のZEB化の推進について』報告書の公表について」の見出しの下、「文部科学省では、子供たちや教職員にとって快適で健康的な温熱環境の確保と脱炭素化を推進するため、学校施設のZEB化の推進方策等について、有識者会議において議論を進め、このたび報告書として取りまとめましたので、公表します。」との記載がある。
「2050年カーボンニュートラルの実現に資する学校施設のZEB化の推進について」報告書の公表について:文部科学省(2023年6月23日最終閲覧)
ご案内
カードゲーム「2050カーボンニュートラル」は、過去から現在にかけて私たちが行ってきた様々な活動が地球環境にどのような影響を与えているのかをマクロ的に俯瞰することによって、私たちの価値観や考え方に気づき、行動変容に働きかけるためのシミュレーションゲームです。
ゲームでは、参加者が1つの組織のメンバーとして1~4人のチームを組み、 他のチームと様々な交渉を行いながら、組織の活動とプライベートの活動を行います。ある組織では獲得資金を増やすことを目指し経済活動を行っていきます。また、ある組織では排出削減量の目標に向かって環境活動を行っていきます。
こうした活動を通じて組織の目標達成を目指すプロセスにおいて、私たちの世の中のカーボンの状態がどのようになっていくのかをシミュレーション(模擬実験)します。
このゲーム体験を通して「なぜカーボンニュートラルが叫ばれているのか?」、そして「そのために、私たちは何を考えどう行動するのか?」に関する学びや気づきを得ることができます。
体験会の詳細はこちら
ブログのご案内
私たちは、カーボンニュートラルや脱炭素、カードゲーム「2050カーボンニュートラル」のことをより深く知ることができる記事を【ブログ】にてお届けしています。
是非、お気軽にご覧ください。
Contact Us
お気軽に、お問い合わせください