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【事例インタビュー】SDGsの理解と自社のSDGsの取組みを知ってもらうためのオリジナルビジネスゲーム制作「The Action!~SDGsカードゲーム~」(損保ジャパン)
企業名 :損害保険ジャパン株式会社
業種 :損害保険
事業内容:損害保険事業
企業規模:約24,000人
「 “安心・安全・健康のテーマパーク” により、あらゆる人が自分らしい人生を健康で豊かに楽しむことのできる社会を実現する」というパーパスを掲げ、本業を通じた社会課題解決を目指す “SDGsの取組み” を推進している損保ジャパン株式会社。
同社では、親子対象の防災ワークショップや市民対象の環境イベントなど、本業以外にも様々なSDGsの取組みを行っています。しかし、これらの本業・本業外でのSDGsの取組みに対する社内(自社の社員)の認知が低い状況にありました。
「自社のSDGsの取組みを社内外に広めるにはどうすれば良いのか」。
損害保険ジャパン株式会社 サステナビリティ推進部の岡本様は、この難題に向き合い続ける中でプロジェクトデザインと出会い、プロジェクトデザインのSDGsゲームに可能性を感じ、損保ジャパンのオリジナルゲーム「The Action!~SDGsカードゲーム~」の制作が決定しました。
今回のインタビューは「The Action!~SDGsカードゲーム~」がリリースされた2022年1月から4か月後に実施させていただいた内容をお届けします。
<お話を伺った方>
損保ジャパン株式会社 サステナビリティ推進部 岡本様
損保ジャパンのSDGsの課題
――損保ジャパンがSDGsに取り組むのはなぜでしょうか?
岡本様:私たちの会社の創業は「江戸の火消し」がルーツです。
国から認可された唯一の私設消防団として行っていた消火活動は社会課題の解決であり、その火消しの精神が、損保ジャパンで130年に渡って受け継がれています。そして、社会課題の解決とSDGsはニアリーイコールと捉えられますので、社会課題の解決に取り組む当社とSDGsとの親和性は高いと思っています。
事実、東洋経済新報社が実施する「2021年版 SDGs企業ランキング」で金融機関部門1位(全業種2位)になるなど、社外からも高い評価をいただいています。
――SDGsに取り組む中で、どのような問題や課題があったのでしょうか?
岡本様:多くの社員は、当社のSDGsの取組みに関してよく認識していません。
営業の目線で言うと、当社が金融業界においてSDGsに関して先進的で、社外から高い評価をいただいている事実はお客様へのPRになります。「商品部では社会課題起点での商品開発に取り組んでいること」や「私たちの本業とSDGsは親和性が高いこと」を営業の現場が知らないのは課題であると言えます。
それゆえ、損保ジャパンの社員全体はもちろん、その先にいる私たちの最大のパートナーである保険代理店の方々に、損保ジャパンのSDGsの取組みの認知をどう広げるかが課題となっていました。
SDGsの課題解決アプローチ
――岡本様は、この課題にどのように向き合われたのでしょうか?
岡本様:そうですね……私が広島県の営業部に在籍していた頃(約2年前)にまで話は遡るのですが、当時、営業訪問先でお客様から「SDGsに関わる取組みをしたい」という話をお聞きしたことが全ての始まりです。
私は「保険以外でも協業することでお客様との関係を強化したい」と思い、SDGsについて勉強をする中で、損保ジャパンが頑張ってSDGsに取り組んでいることを初めて知ったんです。
防災ジャパンダプロジェクトでは将来を担う子どもとその保護者を対象に、災害時に自分の身は自分で守る自助のための体験型ワークショップをNPO法人と連携して制作していること。SOMPO環境財団、環境系NPO法人と、一般の方向けに市民のための環境公開講座を共催していること。脱炭素やフードロスに関する保険商品・サービスを提供していること……初めて知ったSDGsの取組みがたくさんありました。
会社がこういった取組みをしていることを社員が知ることができれば、それは多様なステークホルダーとパートナーシップを構築するための要素の1つになると思います。それには、私がそうであったように、まずは「そもそもSDGsとは何か」を知ること、SDGsの理解が大切です。
――自社の社員やパートナーである保険代理店の方々にSDGsの理解を促す上で、どのように取り組まれたのでしょうか?
岡本様:当初はSDGsの理解を深めるセミナーの開催も考えましたが、そもそもSDGsについて知らない人や興味が薄い人に対して、座学で知識が身に付くかと言うと疑問符が残ります。
そんな折に「ゲームでSDGsを学べるらしい」という話を聞き、プロジェクトデザインが制作し、広く展開しているSDGsゲームと出会いました。
実際に社内の有志を集めてこのSDGsゲームを体験したところ、ゲーム感覚で楽しく学べると同時に、SDGsの本質が腹落ちした実感を持つことができました。それは他の参加者も同様でしたので、このSDGsゲームを損保ジャパンの全社員に体験してもらうことで、SDGsの理解を促すことができる。そう思いました。
――既存のSDGsゲームを利用するのではなく、オリジナルゲームの制作を考えたのはなぜでしょうか?
岡本様:SDGsの理解を深めると同時に、自社のSDGsの取組みも知ってもらえるようなゲームが必要だと考えたからです。そうすることで、損保ジャパンの社員や保険代理店の方々がお客様先でゲームを実施することが、そのまま会社の取組みを知っていただくことに繋がります。
ただ、この考えを実現するには、ゲームを実施する仲間をどう増やすかという人手の面の課題やオリジナルゲーム制作にかかる費用をどう工面するかの課題があったのですが、それらは会社の中に新しいビジネスや取組みを役員に提案することができる社内制度があったことが突破口になりました。
この社内制度は書類選考と関連部の審査、役員の審査を通過すれば実現できます。早速応募したところ、1回目のチャレンジは書類選考で落選という結果に終わりました。「カードゲームでSDGsを理解するというイメージがつきにくい」というのが落選理由です。
岡本様:2回目のチャレンジでは、カードゲームでSDGsを理解するイメージを持ってもらうために自分たちで考えたカードを資料に加えるなどの工夫を施し、提案書をブラッシュアップしました。
その上で「ゲーム開発のノウハウを持たない我々が考えるカードゲームだと面白味も効果もありませんが、外部の業者と共同で開発すればもっと気づきの深い良いものになります」という実現可能性を補強するメッセージを強化したところ、採用に至りました。
プロジェクトデザインを選んだ理由
――ちなみに、SDGsゲームを制作している会社の中でプロジェクトデザインを選ばれたのはなぜでしょうか?
岡本様:もちろん、他社のSDGsゲームも色々と試したのですが、プロジェクトデザインのSDGsゲームを体験したときに気づきや衝撃が大きかったというのが理由です。
正直な話、御社のSDGsゲームを体験するまでは「SDGsという壮大なテーマを前にした時に、自分1人の行動で何が変わるのだろうか?」と疑問がありましたが、それは少し思い違いでした。
最初はよく分からないままゲームが始まり、序盤は皆が自分の目標ばかり達成しようと行動してしまうのですが、世界の状況を表すメーターを見ることで皆が少しずつ協力することの必要性に気付き始めます。そして、最終的には世界の状況を良くするために1人1人が周りに目を向けて、交渉を通じて輪を広げる中で「世界はこういう風にできるんだ」「SDGsが目指している世界はこういうことなんだ」「1人1人の行動をこういう風にしないといけないんだ」と気付くことができる。
そんなゲーム体験を通じて「1人1人の行動(小さな一歩を踏み出すこと)や1人1人が視野を広げることで本当に社会が変わるんじゃないか」と思わされました。
ここまで深い気付きを与えてくれるゲームに出会ったのは初めてで、衝撃を受けました。
1人の100歩より、100人の1歩
――オリジナルゲーム「The Action!~SDGsカードゲーム~」をリリースしてから、実際にゲームを体験された方々の反応はいかがでしょうか?
岡本様:2022年5月現在、230名の社員が公認ファシリテーター(※)の資格を取得し、損保ジャパンの社内やパートナーの保険代理店の方々に向けて「The Action!~SDGsカードゲーム~」を提供しています。
このゲームを体験いただいた方々の反応は概ね好評です。「自分自身の意識が変わった」「自分の目標だけを見て行動すると地域が衰退するが、視野を広げて他人の目標を理解することで地域全体が良くなる」「SDGsの本質を楽しんで理解できた」などの感想をいただいています。
※公認ファシリテーターとは「The Action!~SDGsカードゲーム~」を用いたワークショップを主催・開催することができる制度のことです。養成講座を受講することで資格を得ることができます。
――「The Action!~SDGsカードゲーム~」にはSDGsの理解に加えて、損保ジャパンのSDGsの取組みも知っていただく目的もありますが、その目的は達成できていますか?
岡本様:達成できていると感じます。
ゲーム体験後に「皆さんがゲーム中に使用したカードに書かれているSDGsの取組み内容は、実は当社の商品・サービス、取組みなんです」と種明かしをすると、社員を含め参加者全員が驚きます。
その上で、手元にあるカードの内容にじっくりと目を通していただくことで、当社の商品・サービス、取組みがSDGsに繋がっていることを理解していただけます。ゲーム体験を通して、私たち損保ジャパンの仕事や取組みがSDGsに貢献していることを感じてもらえるのが嬉しいです。まさに、ゲームを実施することが、そのまま会社のアピールに繋がっていると感じます。
営業を経験してきた私の視点から見ても、このゲームはお客様へ新たなアプローチができるツールになっていますし、SDGsでも重要視されているパートナーシップ・関係構築に繋がることは大きなメリットだと思います。
――「The Action!~SDGsカードゲーム~」を用いた今後の展望はいかがでしょうか?
岡本様:ゲーム名の「The Action!」にあるように、“行動者” を増やしていきたいと考えています。
具体的には、今年度内に当社の約24,000人の社員にゲームを体験してもらうほか、社内外にファシリテーターを育成することで、より多くの方にゲームを体験いただきたいです。
特に、最大のパートナーである代理店の方がファシリテーターになってくだされば、日本全国にSDGsの行動者を増やせると思います。今後、代理店向けのファシリテーター養成講座を開催する予定です。
――そこまで多くの方々に向けて「The Action!~SDGsカードゲーム~」を広げていくのは何故でしょうか?
岡本様:SDGsの描く世界に近づくには、1人の100歩より、100人の1歩が大切だからです。
当社のパーパスに “安心・安全・健康のテーマパーク” や “健康で笑顔あふれる未来社会を創る” というキーワードがあります。このカードゲームに参加して意識変容が起こった人の多くは、健康で笑顔あふれる社会の実現を願ってくれるでしょうし、私たちもそのような世界を創っていきたいです。
個人や企業単体でできることは限られていますが、様々な人や組織が繋がり、幅広い感覚でパートナーシップを結ぶと実現できることが数多くあると、日々実感しています。
私自身、広島の営業部から本社のサステナビリティ推進部に異動してきて、このゲームの制作・展開に携わっています。自分の想いで実現できた分、こだわりからうまくいかないこともありますが、制作時も本社に来てからの仲間がサポートしてくれています。
日本の多くの企業がこの目線でSDGsを実践すれば大きな輪となり、可能性も広がると思っています。一緒に頑張りたいですね。
――ありがとうございました!
ご案内
「The Action!~SDGsカードゲーム~」は、SDGs研修を実施したい・具体的なSDGsの取組みをつくりたい人や組織にお勧めのビジネスゲームです。
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