テレワークは、COVID-19 の影響を大きく受ける形で急速に浸透しました。在宅勤務制度を拡充する動きは、トヨタ自動車、日立製作所、富士通、カルビー等、様々な企業に見ることができます。
テレワークの浸透スピードには業界・業種による差はあれども、これから数年の間にはオフィスに出社して働くスタイルが少数派となり、テレワークが当たり前の時代が到来することと思います。
ただ、今はテレワークの過渡期であり、以下のような点で多くの企業が悩んでいる現状があります。
“感染対策としてテレワークを推進したのは良いが、テレワークで従業員の生産性をどのように高めれば良いのか”
そこで、私からは、従業員の生産性を高める方法の考え方を簡単にお伝えしたいと思います。
生産性向上の3つのレベル
生産性向上には『戦略』『戦術』『戦闘』3つのレベルがあると思っています。
戦略レベルの生産性向上は経営陣、上級管理職の仕事です。商品やサービスの価格や提供形態を大きく変えていくこと(方針転換)で生産性を向上させます。
<例>
- 売り切り型だった商品を定期購入に変える
- カスタマイズありきの商品の標準化を進める
- 製品そのもので利益をあげるのではなくアフターサポートで利益を上げる
戦術レベルの生産性向上は管理職の仕事です。
<例>
- 管理ツールや営業ツールを変える
- プロダクトの開発方針を変える
- 人材育成の方針や人事制度、チームの役割分担を変える
戦闘レベルの生産性向上は個人レベルの仕事です。
<例>
- スケジューリングをしっかりする
- 商談のクオリティをあげる
- 集中できる環境で仕事をする
- コミュニケーションのクオリティを上げる
ちなみに、当社(プロジェクトデザイン社)が COVID-19 の影響を受けて実施した生産性向上は以下の通りです。
- 戦略レベル:ビジネスゲームのオンライン化へのシフト
- 戦術レベル:社内の会議体系の整理と頻度の見直し
- 戦闘レベル:初訪から納品まで完全リモートで完了できるような商談・制作・納品プロセスの改善
さて、言わずもがなですが、通常は戦略レベルの生産性向上が最も効果が高く、戦術、戦闘レベルと続きます。また、戦略や戦術レベルでの生産性向上施策の精度が高ければ、自然と戦闘レベルの生産性向上が実現されるとも感じています。
ただ、実際は戦闘レベルの生産性向上について議論されるに留まっていることが多く、戦略レベルや戦術レベルの議論がなされていないことはよくあります。生産性向上を戦闘レベルに求めすぎることは、逆にメンバーの負荷を高め、内発的な動機を削いでしまう結果にも繋がりかねません。
そういう意味では戦略レベルでの生産性向上を実現するビジネスゲームを開発し、多くの人に体験していただく必要があると、うっすらと感じています。
また、最近は個別に開発を依頼されるビジネスゲームのほとんどが、この戦略レベルでの生産性向上を題材にしたものでもあるので、将来的にはどこかで、皆様にもお披露目したいと思います。
執筆者プロフィール
福井 信英
富山県立富山中部高等学校卒業、私立慶應義塾大学商学部卒業。 コンサルティング会社勤務、ベンチャー企業での営業部長経験を経て富山にUターン。2010年、世界が抱える多くの社会課題を解決するために、プロジェクト(事業)をデザインし自ら実行する人を増やす。というビジョンのもと、株式会社プロジェクトデザインを設立。現在は、ビジネスゲームの制作・提供を通じ、人材育成・組織開発・社会課題解決に取り組む。開発したビジネスゲームは国内外の企業・公的機関に広く利用され、英語版、中国語版、ベトナム語版等多国語に翻訳されている。課題先進国日本の社会課題解決の実践者として、地方から世界に売れるコンテンツを産み出し、広めることを目指す。 1977年生まれ。家では3人の娘のパパ。
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