ファシリテーターのお悩み相談室では、ファシリテーターの方々の様々な悩み相談に対して、プロジェクトデザイン社の “中の人” が悩み解決のヒントをお届けします。
ファシリテーターのお悩み相談室
<質問1>
ビジネスゲーム研修を効果的に実施する上での注意点はありますか?
<回答>
こんにちは、竹田です。
ゲーム型研修としてよく起こることとして、いわゆる講義型・座学型の研修だと思って意気込んでいた受講者の方が、ゲーム型研修にうまく入り込めないということがあります。これは、その方の学びや気づきに繋がりにくくなるので「もったいない」状態です。
かくいう竹田自身も、受講者の方からゲーム体験終了後に、「勉強できると思って来たのですが、ゲームをさせられるとは思いませんでした。反面教師にします」と言われたことがあります。
大切なことは、参加される人たちには「ゲーム型の研修を行う。そこから学びや気づきに繋げていく」ということを、組織内での企画提案や受講者募集の際に明確にすることです。つまり、受講者の期待値を「講義ではなく、行動により深めていく研修である」というところに持っていく必要があります。
組織内研修として企画するご担当者の方々は上記の観点から組織内での期待値を形成することが有効ですし、ファシリテーターの方々は上記の観点でクライアントの担当者に対してアドバイスしてあげることが有効です。
ちなみに、組織によっては「ゲーム」という言葉に対する抵抗感がある場合もありえますので、「ワークショップ型ビジネス研修」と銘打つなどの工夫も必要かもしれません。
<質問2>
ビジネスゲームのワークショップにお勧めの本はありますか?
<回答>
引き続き、竹田がビジネスゲームのワークショップにお勧めする本を2冊をご紹介します。
1冊目は「なぜあの人の解決策はいつもうまくいくのか?―小さな力で大きく動かす!システム思考の上手な使い(東洋経済)」です。
この本からはシステム思考の基礎を分かりやすく学べます。SDGsの本質である全体性や繋がりはシステム思考の重要な考え方でもあります。この本を学ぶことで、「SDGs de 地方創生」や「2030SDGs」の振り返りにおいて、以下の観点で役立てられると思います。
~学べること~
(1)「良くなる前に悪くなる現象」の事例を豊富に語れるようになれます。
(2)「ゲームの中でどうして同じパターンが頻繁に出現するのか」について、正確に見立てて言語化できるようになります。
(3)自分が意図せずして悪影響を及ぼす起点になり得る。モノゴトには正負の両面がある。このような前提のもとで「自分が選択的に見ようとしているものしか目に入らない」ことには自分のフィルターや色眼鏡、さらには価値観や考え方の癖があります。そこに気付いてオープンに対話をするからこそ、共有ビジョンを描いて推進力にしていける、ということに対して腹落ちできます。
2冊目は「大型商談を成約に導く「SPIN」営業術(海と月社)」です。この本からは、商談の成功のみならず、ワークショップを成功に繋げる学びを得られます。
~学べること~
(1)クライアントや自組織が抱える課題をしっかり明確化することの重要性に気付くことができます。
(2)その重要性をクライアント自身に語っていただくためには、事前の準備が非常に重要であり、具体的にどんな準備をして商談に臨めばよいのかが分かります。(自信がないときほど商品説明や自分の実績を説明したくなります)
(3)抱える課題を明確にするからこそ、ニーズありきでワークショップの内容を設計していくことに繋がります。(竹田には、課題やニーズの説明無しに手段を教えてほしいという質問がたくさん寄せられています)
是非、一度お手に取って読んでいただけますと紹介者として嬉しく思います。
執筆者プロフィール
竹田 法信
富山県立富山中部高等学校卒業、筑波大学第三学群社会工学類卒業。大学卒業後は自動車メーカー、株式会社SUBARUに就職し、販売促進や営業を経験。その後、海外留学などを経て、地元・富山県にUターンを決意。富山市役所の職員として、福祉、法務、内閣府派遣、フィリピン駐在、SDGs推進担当を歴任。SDGsの推進にあたり、カードゲーム「2030SDGs」のファシリテーションを通して、体感型の研修コンテンツの可能性に魅せられ、プロジェクトデザインへの転職を決意。ファシリテーターの養成、ノウハウの高度化などを通して社会課題の解決を目指す。富山県滑川市在住、地元・富山県滑川市総合計画審議会委員。