この数ヶ月、社内の『コミュニケーション強化』に関する研修依頼が多くなってきました。
テレワークが続くことにより生じるデメリットが表面化してきたために、各社対策を講じる必要が出てきたということでしょう。2020年に内閣府が2度に渡って行った面白い調査結果があります。
・ テレワークのデメリット(テレワーク経験者)|内閣府男女共同参画局
こちらの調査ではテレワーク期間が長引くにつれ、多くの不便な点が緩和・解消されてきていますが、2つだけテレワーク期間が長引くに連れ問題が深刻化している要素があります。それは下記の2点です。
- 社内での気軽な相談、報告が困難になった(34.5%→38.4%)
- 画面を通じた情報のみによるコミュニケーション不足やストレス(27.1%→28.2%)
『コミュニケーション強化』を求める企業も、何が問題になっているのか言語化できていないケースが多く存在します。
研修を実施する際には、問題を引き起こしている箇所を特定し、before/afterでどのような変化を生み出すかを明確化することが大切です。なんとなく「コミュニケーション強化」といっているだけでは、限られた時間で最大の効果を生み出すことはできません。
長引くテレワークによって深刻化している上記2点の問題を問いになおしてみると、社内での「ちょっとしたコミュニケーション」がなくなったことによる弊害はなにか? と考えることもできます。そして「ちょっとしたコミュニケーション」が不足することによる弊害は大きく下記5点に集約できます。
- 一緒に働くメンバーの状況(体調、心身、仕事の負荷)を知ることが難しく、適切なフォローができなくなった
- 仕事に不慣れな新入社員や中途社員にタイムリーにフィードバックする機会が減ったため、成長・適応スピードが遅くなった
- 質問・相談すれば5分で終わることを聞けずにいたり、長文のメールを書いたりして時間を無駄にしてしまう
- よく一緒に働くメンバー以外とのコミュニケーションが不足しているため、部門を超えた連携や協力がしにくくなった
- 立ち話や雑談から生まれる新たな発想(セレンディピティ)の機会が失われた
上記の弊害を言語化できている企業は、すでに対策をうち始めています。例えば、
- 社員5-6名がランダムに集まり、朝15分程度自分の今の状態を話す時間を設ける
- 会議の前にかならずプライベートも含めた近況報告をしてから会議を開始する
- 社員同士で(時にはゲームもしながら)ライフストーリーテリングをする機会を設ける
といったものです。
知らない間に徐々に業績が落ちていたり、辞めていく社員が増えていたり、社内のエンゲージメント調査のスコアが悪化している。
そんな企業にいらっしゃるようでしたら 「社内でのちょっとしたコミュニケーションが生み出していたものは思っていた以上に大きかった」 「気づかないうちに特定のメンバー意外とのコミュニケーションは極端に減っている」 ということを認識し、社員を巻き込みながら対策を考えることから始めてみてはどうでしょうか。
きっと良い結果につながることと存じます。
※当社でも社内のコミュニケーション強化を『健康経営ゲーム』といったツールを使って支援していますので、興味のある方はぜひお問い合わせください。
執筆者プロフィール
福井 信英
富山県立富山中部高等学校卒業、私立慶應義塾大学商学部卒業。 コンサルティング会社勤務、ベンチャー企業での営業部長経験を経て富山にUターン。2010年、世界が抱える多くの社会課題を解決するために、プロジェクト(事業)をデザインし自ら実行する人を増やす。というビジョンのもと、株式会社プロジェクトデザインを設立。現在は、ビジネスゲームの制作・提供を通じ、人材育成・組織開発・社会課題解決に取り組む。開発したビジネスゲームは国内外の企業・公的機関に広く利用され、英語版、中国語版、ベトナム語版等多国語に翻訳されている。課題先進国日本の社会課題解決の実践者として、地方から世界に売れるコンテンツを産み出し、広めることを目指す。 1977年生まれ。家では3人の娘のパパ。
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