人材育成に携わってこられた方にとって、一度は悩まれたことがあるテーマが『研修効果の定着』ではないでしょうか?
当たり前のことですが、研修を通じて、一時的に
- 良いことを学んだ、今後に役立てよう
- やる気が出た、明日から頑張ろう!
と思っても、その思いや行動の改善が続かなければ意味がありません。何故、思いや行動の改善は持続しないのでしょうか。研修効果の定着に対して何が課題となっているのでしょうか。
研修効果の定着を阻害する5つのハードル
私は日頃、企業の皆様から研修の依頼とその効果の定着の相談を受けたときに「研修の定着には5つのハードルがある」と述べています。それは、
- 腹落ち不足
- 言語化不足
- 現場否定
- 応用不足
- 評価不足
という5つのハードルです。
1. 腹落ち不足
腹落ち不足とは「会社から言われてるから参加しているけど、ウチじゃ使えないよ」と、研修内容対して参加者自身が納得していない状態を指します。
2. 言語化不足
学生時代を思い返すと、「授業を聞いて一度はわかったつもりになっていたけれど、いざ問題を解こうとすると解けない」。そんな経験は誰しも心当たりがあるのではないでしょうか。
聞いたけれど、理解できておらずに自分の言葉で説明できない状態。言い換えると、聞いただけで、わかったつもりになっている状態が言語化不足です。
3. 現場否定
学んだことを早速実践しようと現場で提案したところ、現場の上司に「ウチには関係ない」「まずは言われたことをちゃんとやれ」と言われてしまい、実践する機会が与えられないままにやる気を失ってしまうケース。これが現場否定です。
4. 応用不足
例えば、営業研修でKPI設定について学んだ社員が、いざ営業活動で意味のあるベンチマーク指標を設定しようとしたときに、どう設定すればいいかわからない(学びを応用できない)ケース。つまり、研修で学んだことを効果的に応用できない状態を応用不足と言います。
5. 評価不足
評価不足とは学んだことを実践しても評価につながらない状態を指します。一般的に学びを実践して、成果に繋げるまでは時間がかかりますし、成果を評価するにもまた時間がかかります。その長期のプロセスの中で評価が不足したまま頑張るのは簡単ではありません。
研修の効果を定着させるために何ができるのか?
この研修効果の定着を阻害する5つのハードルを理解した上で、ひとつひとつ、これらを潰す方法を考えていくというのが企業の人材育成担当者の腕の見せどころになります。
全部一度にハードルを解除していくというよりは、その会社で重要度が高く、また、意思決定者の権限の範囲が及ぶ領域からまずはひとつずつ解決していくようにしています。
例えば、腹落ち不足の場合は、研修終了後に課題図書を数冊出して全員が読んだ上で実践し、実践結果のレポートを出すことを研修とセットにすると良いでしょう。
あるいは、組織において特に弱いポイントがあれば、そこに合わせた対策を組み込んだ研修を行ったり、継続的な研修で5つのハードルを段階を踏んでクリアしていくこともお勧めです。
参考までに研修効果の定着を阻害する5つのハードルごとの対策例をご紹介します。
効果が定着する研修をつくろう
「やってみせ、言って聞かせて、させてみて、ほめてやらねば、人は動かじ」とは山本五十六氏の言葉ですが、研修の場合は「やってみせ」「させてみて」「ほめてやらねば」が不足しているような気がします。
弊社が提供しているビジネスゲームは、体験を通じて参加者に腹落ち感を提供しやすく、また、社内にファシリテーターを育成することで「背中で語る」ことが出来るようになるツールです(上図の対策①③に該当します)。
研修効果の定着で悩まれておられる方がいらっしゃれば、ぜひ一度ご相談ください。一緒に効果的な解決策を考えましょう。
監修者プロフィール
福井 信英
富山県立富山中部高等学校卒業、私立慶應義塾大学商学部卒業。 コンサルティング会社勤務、ベンチャー企業での営業部長経験を経て富山にUターン。2010年、世界が抱える多くの社会課題を解決するために、プロジェクト(事業)をデザインし自ら実行する人を増やす。というビジョンのもと、株式会社プロジェクトデザインを設立。現在は、ビジネスゲームの制作・提供を通じ、人材育成・組織開発・社会課題解決に取り組む。開発したビジネスゲームは国内外の企業・公的機関に広く利用され、英語版、中国語版、ベトナム語版等多国語に翻訳されている。課題先進国日本の社会課題解決の実践者として、地方から世界に売れるコンテンツを産み出し、広めることを目指す。 1977年生まれ。家では3人の娘のパパ。