日本発のスポーツメーカーとして成長の機会を海外に求めて世界的なスケールで事業を展開する株式会社アシックス。
インターブランド社が発表する「Japan‘s Best Global Brands」にて10年連続トップ40に選ばれるアシックスは売上高の約80%を海外売上で占めており、名実ともにグローバル企業として、その存在を広く知られています。
アシックスの採用チームでは、その事業スケールの大きさゆえに、内定者や学生に対して「自社で働くイメージを伴った仕事理解」の促進が難しい状況に直面していました。
このような中で、同社がプロジェクトデザインのオリジナルビジネスゲームの制作を依頼されたのはなぜでしょうか。人事総務統括部人事企画部採用チームの萩原様、石井様、星野様にお話を伺いしました。
石井様(左)、星野様(右)
ビジネスや仕事の本質を外すことなく、圧倒的なリアリティのある内容をゲームのように楽しく学ぶことができる
ー はじめに、研修の実施目的について簡単に教えてください。
萩原様:研修の目的は、内定者に対して、アシックスの様々な部署の仕事理解を深める機会を創ることです。
ー 私たちプロジェクトデザインのビジネスゲームを選んだのはなぜでしょうか?
萩原様:私たちが求めていたのは内定者や学生に対してアシックスで働くイメージを伴った仕事理解を促進できる研修コンテンツです。
研修内容の質の高さはもちろんのこと、受講者が飽きずに楽しく取り組むことができる研修を探し、複数の研修会社を比較検討させていただく中でプロジェクトデザインのビジネスゲームを選ばせていただきました。
ビジネスや仕事の本質を外すことなく、圧倒的にリアリティのある内容をゲームのように楽しく学ぶことができる。そう思えた点が決め手でした。
プレイヤー自身の思考と行動によって学びが変化する
ー 当社で制作させていただいた貴社オリジナルのビジネスゲーム(※)について、どのような点にビジネスゲームならではの良さがあると感じられましたか?
石井様:アシックスのビジネスゲームは、最初にアシックス本社(グローバル)の意思決定を各部門が行い、次に世界中の各地域(ローカル)の意思決定を行うことで売上利益の目標達成を競う内容になっています。
ゲーム中には「明確なビジョンがない状況だと意思決定が難しい」「部門間の利害の衝突が発生した際に声の大きなプレイヤー(受講者)の意見に流されやすくなる」などのビジネスや仕事の現場で起こる問題が再現されています。
そして、プレイヤーはこの問題にどう対応するのかを自身で考えて行動に移すわけですが、このプレイヤー自身の思考や行動によって学びが変化します。
例えば、Aさんは「自分の独善的な行動が悪い結果を引き起こす要因になっていた」と内省することで協調することの意味を学ぶ。一方、Bさんは「ゲーム中に他人の意見に迎合していた」と自省することで自分の意見を主張することの大切さに気付く。
これがビジネスゲームならではの良さだと感じています。一義的な学びを提供する研修が多い中で、多様な側面の学びが用意されていることは、個々人の学びを深める意味でとても良いことだと思います。
※プロジェクトデザインでは「The 商社」や「SDGsアウトサイドインカードゲーム」などのパッケージ型のビジネスゲームとは別に、各企業様のオリジナルビジネスゲームの制作も行っています。
オンラインでないと実現できない価値、オンラインだからこその価値を追求していきたい
ー 今回のオリジナルビジネスゲームは集合開催を前提に準備を進めてきましたが、新型コロナウイルス感染症の影響を受けてオンライン開催もできるようなゲームとして制作をさせていただきました。先日実施したオンラインでのテストプレイの感触はいかがでしたか?
石井様:オンライン開催にすることで(集合研修と比較した際に)学びが浅くなる心配がありましたが、それは杞憂でした。集合研修さながらに活発な議論が起こっている様子を見ることができて良かったです。テストプレイの参加者アンケートの内容からも確かな学びの効果を確認できました。
ー オンライン開催だからこその良さはどのような点にあると思われましたか?
石井様:内定者研修を集合開催する場合は、当然、内定者をアシックス本社がある神戸まで招くことになるのですが、当社の内定者には海外在住者も多いので交通費や宿泊費の予算が膨らんでしまいます。
オンライン開催はその予算的な制約を取っ払うことができる点は大きなメリットです。
星野様:アシックスでは昔からグローバルな拠点間のテレビ会議が普通に行われているので、アシックスの仕事環境に慣れるという意味でも内定者研修をオンライン開催することは良いことだと感じます。
それに、今のジェネレーションZの若い世代はオンラインが当たり前の感覚なので、オンライン研修も自然に受け入れられるのではないでしょうか。
ー 逆に、オンライン開催の問題点について感じたことはありましたか?
石井様:内定者研修を集合開催する際には歓迎会などの交流があることで内定者同士が仲良くなることができるので、オンライン開催でも「リアルに会うことの価値」を再現するための工夫が必要だなと感じました。
星野様:インターネット通信の急な不具合対応などの運営面での不安はありますね。ただ、今回のテストプレイではプロジェクトデザインの方々から運営サポートをいただけたので「これなら大丈夫」と思えるようになりました。
ー 最後に、これからのオンライン研修についての考えをお聞かせいただけますか?
石井様:オンライン研修は集合研修が実施できない場合の代替手段として捉えられていることが多いように感じますが、私はオンライン研修を妥協案にしたくないと考えています。
オンラインでないと実現できない価値、オンラインだからこその価値を追求していきたいですね。例えば、ライブ配信を活用することで他社との合同研修や異業種交流のような研修も実現できるようになるのではないでしょうか。
ー ありがとうございました!
アシックスのオリジナルビジネスゲームの概要
仕事理解グループワーク『MOVE』では5年後の売上利益目標を達成するために前後半で2つのグループワークに取り組みます。
前半の部門ワークでは、プレイヤーはアシックス本社の各部門(商品企画/研究/デザイン/商品開発/生産/管理)に分かれて、配布資料(意思決定に必要な情報がまとめられた資料)を頼りに部門方針を意思決定します。
バリューチェーンで繋がる各部門の方針は相互に影響を及ばします。複雑に絡み合うそれぞれの部門の思惑をいかに解きほぐすか?
プレイヤーの手腕が問われます。
後半のプロジェクトワークでは、プレイヤーはアシックスの各地域(北米/欧州/中国/日本/東南アジア)のプロジェクトチームに分かれて、配布資料と追加情報カード(調査活動をすることで得られる情報)を頼りに地域の方針を意思決定します。
前半の部門ワークの意思決定内容がアシックス本社のグローバルな方針であるのに対して、後半のプロジェクトワークの意思決定内容は各地域のローカルの方針です。
グローバルの方針をそのまま尊重するのか、それとも、地域の市場ニーズや消費者の声に応えるためにグローバルの方針と矛盾する意思決定をするのか。難しい判断がプレイヤーに委ねられます。
ゲームで使用するツール(試作段階のもの)
そして、部門方針と地域の方針の組合せによってアシックスの5年後の売上利益が決定します。プレイヤーはゲームの結果に対して喜びや悔しさを感じつつ、ゲーム中の振る舞い(思考と行動)を振り返ることで、それぞれに必要な学びや気づきを得ることができます。
オリジナルビジネスゲーム開発のご案内
私たちは人と組織・社会の課題をビジネスゲームで解決する会社として、お客様の課題解決に貢献するオリジナルビジネスゲームを提案します。社内浸透コンテンツやインターンシップコンテンツ、自社商品や集客・営業ツールなどに活用いただけます。