2020年1月30日に、人事制度設計のプロフェッショナルとして100社を超える企業の人事制度を設計してきた株式会社ピースの中川代表とプロジェクトデザインが協同で開発したビジネスゲーム研修「人事制度ゲーム」の体験会を開催しました。
今回はその体験会の様子をレポートしていきます。人事制度や組織活性化の取り組みを考えていきたい方、人事制度の説明を効果的に行いたい方、ビジネスゲームや「人事制度ゲーム」がどんなものか、どんな学びがあるか気になるという方の参考になりましたら幸いです。
ビジネスゲーム「人事制度ゲーム」とは
「人事制度ゲーム」は人事制度に関わる方や人事制度の社内浸透を進めたい企業にお勧めのビジネスゲームです。人事制度の意義・人事施策の知識・人事制度の自分ごと化について理解を深める機会を提供します。
本ゲームの参加者は企業の人事担当者となり、人事制度設計や組織開発の取り組みを行っていくことで企業の成長の実現を目指します。現実同様に会社の規模や業種・管理職の有無・社員の状況によって同じ施策であっても生まれる効果が異なるため、やみくもに「良い施策」「流行りの施策」を打つのではなく、自社の現状に合った施策を打つことが重要となります。
ゲームの様子
今回参加されたのは、企業の人事の方を中心とした12名の方々。「いま構築している人事制度をより良いものにするため」という理由から参加されている方が多くいらっしゃいました。
「果たして『人事制度ゲーム』がどのようなものなのか?」、皆さんそれぞれ頭の中で想像を膨らませながら開始を待たれている様子でした。
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そして体験会がスタート。
ビジネスゲーム研修「人事制度ゲーム」はカードゲーム形式ですので人事制度に詳しくない方でも気軽に取り組むことができます。この日も、ルールの理解があいまいな部分をチームの中で教え合う、確認し合うなどして協力して進められていました。
本ゲームはカードゲーム形式ではありますが、その内容は実に現実的。毎ターン10種類程度の人事制度の選択肢が提示される中、プレイヤー(参加者)には考え抜いた判断が求められます。各ターンでの人事制度施策の選び方や、ゲームの中で直面する課題への取り組み方は、プレイヤー(参加者)やチームによって様々です。
次にどの施策を打つか、現実さながらに真剣に考えるチームもあれば、「えいや」で決めてしまうチームも。
また、ゲームの中で
- 会社の風土が非常に悪いので使えない社員をリストラしようとしたところ、逆に良い社員が逃げていってしまった
- 教育体制が整っていないのに新人を採用した
といった、実際の人事制度でも起こりがちな「良かれと思って悪いことをやってしまう」場面も見られました。
さて、自分自身・自分のチームの実施してきた人事制度施策が正しかったのかどうか? ゲームの結果は、売上や利益という具体的な数字で表されます。結果発表の時間には、売上トップのチームはガッツポーズや拍手をして喜び、順位が落ちてしまったチームはがっくりと肩を落とすなど、皆さんゲームの設定に入り込み、熱中して取り組まれていました。
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ゲーム終了後、プレイヤー(参加者)の方々には、カードの運や他者の行動といった外部要因ではなく、ゲーム中の自身の思考や行動にスポットを当てて振り返っていっていただきました。
プロジェクトデザインのビジネスゲームは、この「振り返り」の時間を大切にしています(こういった短時間で終わるゲームは、自分や他者の行動を観察し振り返るのに向いています)。
そして、こちらからも、ゲーム中に見られた行動や振り返りで参加者の方から出た意見をふまえて、人事制度を設計・運用する上で重要なポイントをお伝えしました。
例えば、ゲーム中「良かれと思って悪いことをやってしまう」という事態が発生していた場面。
人事制度は対症療法をすると副作用が生まれることも多いため、対症療法ではなく原因療法を取る必要があります。目の前の問題に囚われずに真の課題をとらえ、ステップを踏んで施策を打っていき、会社を良くしていくことが重要です、といった形です。
その後、参加者の方々にはゲームで使用した人事制度の施策カードをもとに、「自社でも実施したい施策」「逆に見直したい施策」を考えていただきました。これにより、ゲームで得た学びや気づきを現実へと紐づけていきます。
ゲームに一緒に取り組んだことで、各チームには「安心感」や「信頼感」といった、話し合うための土台ができています。そのため、それぞれが感じたこと、考えたことをチームで共有する際も、自社について一歩踏み込んだ内容をオープンに話し合われ、意見を交わされていました。
体験会終了後も、参加者の方同士での会話、交流はしばらく続いていました。
アンケート結果
人事制度および制度設計への理解
- 人事制度という側面から会社を動かす体験ができた
- ゲーム性が高いが、しっかりと仕組みを理解できた
- 制度設計のポイントを短い時間で理解できた
- 制度設計のあるべき姿が想定されていたため、すっと腹落ちした
ゲームの世界と現実の世界とのリンク
- 自分が予期していない結果が出て、体感的に学べ、失敗できることの価値、シミュレーションの価値を感じた
- いわゆる「よくあること」が「よくあるタイミング」で発生する。現実に置き換えると恐ろしい……
- 会社の設定(規模)を複数の中から選ぶことができたため、実際に自分が所属する会社と照らしあわせてシミュレーションできたのがよかった
自分自身への気づき
- 慣れていることでも見落としがあることに気づいた
- 自分自身の思考傾向が客観視できた
自組織への気づき・自組織での活用について
- 自社がいかに短期的な視点にしか頭がいっていなかったかを気づけた
- 自社の制度について考えるきっかけになった
- 人事部以外の人間が、関心を持ち、自社のこれからの組織及び制度について考えるきっかけになると思った
- 結果を利益でみるところが、エンゲージメント、社員満足度に寄りすぎないバランス感があり、従業員への意識浸透に効果的だと感じた
事例の豊富さ
- 具体的な事例を交えてお話しいただけたため、バーチャルのゲームにはまりすぎることなく、実際の場面を想像しながら参加できた
- 世の中の事例をもとに話していただけ、自身の勉強の方向性に気づきがあった
「人事制度ゲーム」のご案内
「人事制度ゲーム」は人事制度に関わる方や人事制度の社内浸透を進めたい企業にお勧めのビジネスゲームです。人事制度の意義・人事施策の知識・人事制度の自分ごと化について理解を深める機会を提供します。