インナーブランディングが上手く行っている組織のイメージ

インナーブランディングとは?注目される背景と具体的な手法、企業の取り組み事例

インナーブランディングとは何か。その意味と注目される背景、そして、インターブランディングの手法と企業の取り組み事例を分かりやすく解説します。

Contents(目次)

インナーブランディングとは

ブランディングとは

ブランディングとは、商品・サービスの価値をお客様が知覚可能なブランド価値へと転換させるためのマーケティング施策です。

ブランディングにおいては、ブランドの一貫性が重視されます。

商品・サービスの機能や価格、ロゴやパッケージ、広告の訴求メッセージや接客対応など、ありとあらゆる顧客接点において一貫性のある顧客体験をつくることによって、お客様は商品・サービスのブランド価値を知覚できるようになります。

インナーブランディングとは

インナーブランディングとは、社内向けのブランディングを意味します。

通常のブランディング(アウターブランディング)が特定の商品・サービスの販売を目的とするのに対して、インナーブランディングは組織開発を目的とします。

インナーブランディングでは、主に企業理念(ビジョンやパーパス)に代表される組織の価値観やブランドが大切している考え方を社内に浸透させることを通じて、組織の一体感・推進力の向上を図ります。

また、インナーブランディングは、社員が一貫性のあるブランディングの取り組みを行う上での道標になります(社員が自律的にブランドを解釈できるようになります)。

この意味において、インナーブランディングとアウターブランディングは一体で捉えることが重要です。いかに優れたブランド価値を誇っている商品・サービスであっても、それらをお客様に届ける社員がブランドに相応しくない振る舞いをすれば、これまでに築き上げてきたブランド価値が台無しになると言っても過言ではありません。

インナーブランディングが求められる背景

サステナビリティ経営の普及

CSRやSDGs、カーボンニュートラルなど、社会からの要請に応える形で企業経営の在り方は変化しています。

今現在、「企業は自社の経済価値だけを追求するのではなく、社会や環境への貢献も同時に追求していくべきである」という意見に異を唱える企業はほとんど存在しないと言っても過言ではありません。それぐらいに、サステナビリティ経営の必要性はビジネスシーンに浸透しています。

しかしながら、サステナビリティ経営の必要性が伝わっていることと、それを実践することの間には幾重もの壁が立ちはだかります。

まず、最初にリーダーの決断の壁。自社がサステナビリティ経営に取り組むことに対して経営陣が決断を行う(本気になる)必要があります。

次に、組織のハード面(戦略や組織の体制・システム)の壁。サステナビリティ経営に取り組む上では戦略の見直しや組織の再編(サステナビリティ推進のための専門部門の設立)、人事制度の見直しなどが欠かせません。

そして、組織のソフト面(価値観やスキル)の壁。組織のハード面を整えたところで、肝心の人が動かないことにはサステナビリティ経営の実現はままなりません。

この組織のソフト面の壁を突破する上でインナーブランディングは重要な役割を担います。自社がサステナビリティ経営を実践する上で大切にする価値観(例えば、刷新したパーパスなど)を社員に浸透させることが大切です。

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サステナビリティに関して興味の有る方は下記の記事をご覧ください(サステナビリティの意味と意義、企業の取り組み事例をご紹介します)。

人的資本経営の潮流

企業経営の在り方の変化という意味において、サステナビリティ経営と同じぐらいのインパクトがあるものが人的資本経営です。

人材を資源という消費するものと捉える経営から、人材を資本として投資する対象に捉えなおす経営の在り方へのシフト。それは、企業で働く社員に限らず、投資家や求職者などの外部のステークホルダーにとっての大きな関心毎になります。

自社の経営理念やサステナビリティに対する価値観などを含めて、どのような考えのもとに人的資本経営を実践していくかについて、社内に対するインナーブランディングの取り組みを進めていくことが求められています。

ご案内

人的資本経営に関して興味の有る方は下記の記事をご覧ください(人的資本経営の意味や背景を解説しつつ、企業の取り組み事例をご紹介します)。

インナーブランディングの手法と、企業の取り組み事例

ビジネスゲームを活用した研修・ワークショップ

私たちのプロジェクトデザインが開発するビジネスゲームは、インナーブランディングの目的となる企業理念やサステナビリティの価値観などの抽象的概念を伝えるツールに適しています。

ゲーム体験という「経験学習」を通じて、一人ひとりの従業員が、組織の価値観を腹落ちさせることをご支援します。

澤田屋の事例

澤田屋では、会社の新しい理念ができたことを機に経営者・会社として定まった考え方の軸についてアウトプットを始め、理念を社内で浸透させていきたい思いがありました。

その上で、これまでは経営者が一方的に話す場を設けていたもの、かしこまった場ではなく、社員と気軽に対話する場にしたい。そのように考え、ゲーム感覚でできる研修で、かつ、カジュアルにコミュニケーションを取れるツールとして、ビジネスゲームを選ばれています。

“以前は一年に一度、全員が集まって新年会と合わせて経営方針発表会を実施していました。社長が「今年はこんなことを考えて、この方向性でやります」と資料を見せながら発表し、みんなで食事をしていたんです。

約3年かけてPMVVを作る中で、様々なことがありました。コロナ禍を経て会社を大きく変える動きもあったので、PMVVには格別の想いがこもっています。

新たなPMVVを浸透するにあたって今までのやり方を変えたいと感じ、「もっとカジュアルにコミュニケーションを取りながら、みんなでディスカッションするのはどうか」など、漠然としたイメージを描いていました”

参考:【事例インタビュー】働く人々の人生をより豊かにする理念浸透研修「moritomirai(モリトミライ)」(澤田屋) | 株式会社プロジェクトデザイン

電機メーカーA社の事例

カーボンニュートラルをリスク対応としてのみならず、事業成長と環境調和として捉えた時に見えてくる可能性に腹落ちし、全員がカーボンニュートラルに向けて足並みを揃えて意識を高めていきたい。

電機メーカーA社では、この課題を解決するために、同社の環境部内のメンバー全員を対象にビジネスゲームを活用した「カーボンニュートラルについて腹落ちを伴って理解する研修」を実施されています。

“数千人規模の従業員を擁する電機メーカーA社。

近年になって環境部門に志願(異動)してきた新参メンバーの多くはカーボンニュートラルという時代へのシフトを「事業機会(※)」と捉えていました。

※この「事業機会」とは、自社の収益を上げるという意味ではありません。「事業成長と環境との調和を実現する機会」という意味になります。

その一方で、これまでの環境部門の取り組みの多くが、社会的責任を果たすための守りの業務に軸足が置かれていたため、環境部内に在籍する古参メンバーの中にはカーボンニュートラルを「気候変動リスクへの対応」と捉える向きがありました。

カーボンニュートラルを推進する役割を担う環境部門内のメンバー間に意識に差がある今の状況を打破できないか。環境部のメンバー全員でカーボンニュートラルに向けて足並みを揃えていくことができないか。それがA社の課題でした”

参考:カーボンニュートラルは「事業機会」か「リスク対応」か。新参メンバーと古参メンバーの意識の差を解消へ | 株式会社プロジェクトデザイン

社内イベント

インナーブランディングの対象は全社員にまで広がることを考慮すると、インナーブランディング施策には展開のしやすさ(効率性)が求められます。すでに実施している社内イベントがある場合は、そのイベントの中でインナーブランディング目的の企画を検討する形が合理的です。

もちろん、インナーブランディング目的の新たな社内イベントを企画することもお勧めです。

delyの事例

delyでは、2023年、社員員全員参加イベント「VISION DAY」を開催しています。

“delyが200人規模になってはじめて行う大型イベント。新卒から経営層まで社員全員が改めてVMVについて考えることを目的に、創業から現在までのエピソードを振り返り、今後delyが目指すことをインプットし、改めてビジョンについて理解を深めるワークショップを実施しました”

“さて、この9年で事業の複雑化やフェーズの変化が起こり、中途・新卒社員と新たなメンバーも増え続けるなかで課題に上がったのは「VMV」「カルチャー」の浸透・理解についてでした。社員は200名を超え一体感が保ちづらくなってきている今、改めてメンバー全員が同じ方向を向いている組織をつくりたい……。それを実現するため、今一度ビジョンである「BE THE SUN」を考える場として「VISION DAY」が開催されたのです”

参考:社内イベント】VMVを全員で考える第一歩「VISION DAY」を開催しました|dely株式会社

1on1ミーティング

組織の価値観の浸透は時間を要するものです。

これまでにご紹介しているビジネスゲーム活用や社内イベントなどの社員が一堂に会する大型施策とは別に、1on1ミーティングのような一人ひとりの社員を支援する日々のコミュニケーションの中で、組織の価値観を伝えていく取り組みも重要になります。

楽天グループの事例

楽天グループでは、“勝てる人材、勝てるチームを作る” ためのプロジェクトの一環として2017年に1on1ミーティングが全社導入されました。

現在は主にマネージャーとメンバー間で週1回実施され、今や楽天を象徴するカルチャーとして根付き、生産性の向上にも大きく貢献しています。

“新卒の私にとって、入社直後の1on1ミーティングは仕事の基本や心構え、社会人として必要なことを学ぶ場でした。緊張のあまり営業がうまくいかずに自信をなくしても、週に1度ある1on1ミーティングでの温かなやりとりで、前向きな気持ちになりました。

最近は次のキャリアステップを考える時期でもあり、チャレンジしたい仕事や興味のある事業がよく議題に上ります。仕事の相談や悩みは仲間ともよく話をしますが、1対1でマネージャーと向き合えるからこそ話せる内容もあります。他のチームメンバーがいる前では話しにくい自分のキャリアのことも1on1ミーティングなら安心して率直に相談でき、的確なアドバイスを受けられます”

参考:「1on1ミーティング」が生み出す、楽天流・コンピテンシー開発|楽天グループ株式会社

この記事の著者について​

池田 信人

自動車メーカーの社内SE、人材紹介会社の法人営業、新卒採用支援会社の事業企画・メディア運営(マーケティング)を経て、2019年に独立。人と組織のマッチングの可能性を追求する、就活・転職メディア「ニャンキャリア」を運営。プロジェクトデザインではマーケティング部のマネージャーを務める。無類の猫好き。しかし猫アレルギー。

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