ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)とは?意味と企業の取り組み事例
- 最終更新日:2024-10-29
ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)とは何か。その意味とビジネスシーンで注目されている背景、そして、D&I推進における課題と企業の取り組み事例を分かりやすく解説します。
ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)とは
ダイバーシティとは
ダイバーシティ(Diversity)とは、多様性を意味する言葉です。
ダイバーシティは、年齢・性別・人種・障害等の外面的に判断しやすい表層的ダイバーシティと、価値観・性的指向等の外面的には判断が難しい深層的ダイバーシティの2つに分けられます。
組織におけるダイバーシティでは、表層的ダイバーシティと深層的ダイバーシティの両方に対する配慮が求められます。
ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)とは
組織におけるダイバーシティとは、多様な人材が集まっている状態を指します。しかし、それだけで上手くいくほど組織運営は簡単なものではありません。集まった多様な人材が力を発揮できるような風土をつくる必要があります。
この多様な人材が集まる組織(ダイバーシティ)と、多様な人材が力を発揮できる風土づくり(インクルージョン)との両立が、ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)です。
より端的に表現するならば、ダイバーシティ&インクルージョンとは多様性に富んだ組織づくりであると解釈できます。
※インクルージョン(Inclusion)とは、包括(一つにまとめること)を意味する言葉です。ビジネス=組織運営においては、組織を一つにまとめることを指します。
ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン(DE&I)とは
近年、ダイバーシティ&インクルージョンにエクイティ(Equity:公平性)の概念が加味された、ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン(DE&I)という言葉が使われることが増えています。
公平と混同されやすい言葉に平等があります。この2つの言葉の意味の違いを理解する上では、オレゴン州立大学のSusan K Gardner氏の説明が参考になります。
“平等は全員に靴を与え、公平は一人ひとりの足に合う靴を与える”
つまり、公平とは一人ひとりの異なる状況(障がいの有無、家庭の状況、性別や国籍の違い)に配慮した適切なサポートを行うことを意味します。
ビジネスシーンにおける「ダイバーシティ」「D&I」「DE&I」の違い
ダイバーシティと、ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)と、ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン(DE&I)。
本稿では、3つの言葉とその定義をご紹介してきましたが、実際のビジネスシーンにおいては3つの言葉は同じ意味(DE&Iの定義)で用いられています。
つまり、「ダイバーシティ」という言葉を使っている会社があった場合、その言葉だけをもって、DE&Iの思想が無い(その会社の対応が遅れている)ことは断じてありません。言葉の定義に囚われることなく、具体的な取り組みの内容をご覧いただくことを推奨します。
ダイバーシティ&インクルージョンが求められる背景
SDGsに対する関心の高まり
誰一人取り残さない(leave no one behind)のスローガンのもとに、193か国の国連加盟国が2016年~2030年の15年間で17の目標と169のターゲットの達成を目指すSDGsは、その根底に多様性を尊重する考えが根付いています。
SDGsに対する関心が高まるに連れて、組織のダイバーシティ&インクルージョン(D&I)の取り組みの必要性が高まっています。
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SDGsに関して興味の有る方は下記の記事をご覧ください(SDGsの意味や背景を解説しつつ、SDGsについて、私たちや企業ができることをご紹介します)。
人的資本経営の潮流
ヒト・モノ・カネの経営資源と言われるように、人材は人的資源(Human Resource)として一般的に認識されています。資源とは消費するものであり、経営においては人材に係るコスト管理に主眼が置かれています。
これに対して、人的資本経営では人材は人的資本(Human Capital)であると考えます。そして、企業のマネジメントの方向性はコストの管理ではなく、投資です。つまり、人的資本経営とは、人材の価値を最大限に引き出すための投資を通じて、中長期的な企業価値の創造につなげる経営の考え方であると捉えられます。
日本においては、人的資本経営について国を挙げて取り組むべく、2023年1月に人的資本に関する戦略や指標などの開示を求める内閣府令が公布され、2023年3月期の有価証券報告書から人的資本に関する情報開示が義務化されています。
このような大きな潮流の中で、ダイバーシティ&インクルージョンは人的資本経営の柱のひとつとして、多様な人材が活躍するための土壌づくりの役割を担っています。
例えば、MUFGグループでは、人的資本経営を支える4つの重点課題の一つに「DE&Iの推進」を据えています(他の3つは「プロ人材育成・リスキル」「エンゲージメント向上」「健康経営」)。
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人的資本経営に関して興味の有る方は下記の記事をご覧ください(人的資本経営についての基本知識、人的資本経営が注目される背景をお伝えしつつ、人的資本経営に関する企業の取り組み事例を分かりやすくご紹介します)。
チームビルディングが目指す組織の在り方との合致
チームビルディングを通じて実現すべき最も重要な組織の在り方は、互いに尊重し合える組織をつくることです。
どんな組織においても、立場や仕事内容の違いが意見や見解の違いを生み出します。そして、違いは対立に発展し、分断へと発展します。
組織のタコツボ化(セクショナリズム)を招く分断は防ぐべきものですが、違いが生まれることを防ぐことはできませんし、それは防ぐべきものでもありません。大切なことは、その違いを受け入れることです。これは相手に迎合するという意味ではありません。相手の意見や価値観を理解し、尊重することを意味します。
このチームビルディングが目指す組織の在り方(互いに尊重し合える組織)は、ダイバーシティ&インクルージョンの目指す組織像と合致します。
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チームビルディングに関して興味の有る方は下記の記事をご覧ください(チームビルディングの意味、チームビルディングが注目されている背景、そして、チームビルディングを通じて目指すべき組織の在り方と具体的なチームビルディングの実践方法を解説します)。
ダイバーシティ&インクルージョンの課題と企業の取り組み事例
【課題】組織に内在する差別や偏見に向き合う
ダイバーシティ&インクルージョンを推進する上では、第一に、組織内でD&Iの取り組みの意義を共有することが大切です。
「お茶くみは女性の仕事だ」
「中途入社の社員はウチの会社には馴染まない」
「定時で帰る社員はやる気がない」
などの大小様々な無意識的な差別や偏見(無意識バイアス)を自覚し、問題として捉えること、そして、問題解決の手段としてD&Iが必要になることに合意形成がなされることで、今後のD&Iの取り組みに大きな推進力を持たせることができます。
パナソニックの事例
パナソニックでは、2023年4月現在、約110人のアンコンシャス バイアス社内アンバサダーが日々研鑽を積んでおり、2022年度以降、日本地域の約6万人の社員に対して継続的にトレーニングを実施しています。
“研修を担当したアンバサダーは、一方的な知識の発信ではなく、互いの肌感覚を共有することを重視していると語ります。「誰もが持っているのに、自分だけでは気づくことができないのがアンコンシャス バイアス。自分ゴトとして捉えてもらえるように、アンバサダーと参加者、参加者と参加者が相互にコミュニケーションをとり、日常での『アンコンシャス バイアスあるある』を共有しています。『こんな発言にモヤモヤした』『こんなシーンもアンコンシャス バイアスかも』と互いに発見しながら研修を行うことで、お互いに視野が広がっていくことを実感しています」”
参考:アンコンシャス バイアス・トレーニング – インクルーシブな職場づくり – Diversity, Equity & Inclusion – サステナビリティ – パナソニック ホールディングス
三井化学の事例
三井化学では、女性社員の役員登用までを視野に入れたパイプラインを構築していくためには、幹部層がアンコンシャスバイアスを理解した上で管轄組織の課題に向き合うことが重要であるという考えに基づき、部長層にアンコンシャスバイアス研修を実施しています。
<部長層アンコンシャスバイアスワークショップ(1時間半)>
プログラム | 内容 |
---|---|
無意識バイアス分析結果の共有 | 事前に受講したe-ラーニングの各人のバイアス数値を組織区分毎の傾向として分析し、結果を共有。組織区分毎の特徴が表れた。 |
グループセッション | 組織区分毎に特徴あるバイアス傾向が存在する原因は何か、自組織の現状や課題についての共有、当社の課題は何かなどについて小グループに分かれて議論。 |
総括 | 各グループで出た意見を共有。最後に、各人の各所管部署でのワンアクションを宣言。 |
メルカリの事例
メルカリでは、無意識バイアスを適切に理解するためのノウハウを広く共有し、日本社会全体の多様性の受容を推進すべく、「無意識バイアスワークショップ」研修資料を無償で公開しています。
“「無意識なバイアス」は機会の均等の担保を妨げ、個人の成長の可能性を阻害するだけでなく、採用や人事評価などの組織にとって重要な意思決定まで左右してしまう可能性があります。そのため、個々の多様な経験や視点を尊重した組織を創るには、一人ひとりがこの「無意識バイアス」を日常的に意識する習慣をつくることが必要不可欠です。メルカリでは、この度「無意識バイアスを適切に理解する」ためのノウハウを広く共有し、より多くの企業や組織でこの「無意識バイアスワークショップ」を実施していただくことで、日本社会全体でのD&Iの推進を目指していきます”
【課題】女性の活躍推進
先の見通しが立てづらい今の時代(VUCA時代)、ビジネスを持続的に発展させていく上では、同質的な組織よりも多様性に富んだ組織の方が変化への対応力が高い。この文脈の中で女性の活躍を推進する動きが高まっています。
男性社会化が進んだ同質的な組織(男性中心の企業文化)の中で見落とされていた女性に対する公平性をいかに実現していくかはダイバーシティー&インクルージョン(D&I)の主要なテーマに据えられるべきものです。
リクルートの事例
リクルートでは、全社横断の取り組みのひとつに、無意識バイアス排除の仕組みづくり「管理職要件の明文化」を推進しています。
“管理職に対する無意識バイアスを排除し、従業員一人ひとりの強みや能力に基づいて管理職候補者の選出・育成議論を行えるよう、管理職に求める要件を明文化しました。導入した組織では、課長職候補者が女性で約1.7倍、男性で1.4倍に増加(2022年9月末時点)。無意識バイアスを排除すると管理職候補者が多様化することが明らかになりました。2023年度からは全社的に導入しています”
伊藤忠商事の事例
伊藤忠商事では、女性従業員のみを対象とした執行役員選考ルールを新設し、2024年4月から新たに5人の女性執行役員を内部から登用することを決定しました。
ぜひ、代表取締役会長CEO 岡藤氏の語る「内部登用を選択した最大の理由」や「働き方改革の次の打ち手の内容」をご覧ください(下記に引用紹介します)。D&Iに取り組む多くの企業にとって大いに参考になると思います。
“内部登用を選択した最大の理由は、女性の登用だけが目的とならないよう、会社全体で女性管理職、役員を「育成」する文化の醸成、更なる意識改革が必要であったからです。多様性に富み、強くレジリエントな取締役会や企業風土は一朝一夕にできるものではなく、何年もかけ、つくりあげていくものです。
また、伊藤忠商事では「働き方改革」の次の打ち手を「フェムテック」としています。女性が働き続ける時に遭遇する様々な障壁を一つでも取り除くことで、一層女性が活躍できる会社を目指したいと思います。そのような会社では、性別にかかわらず誰もが力を発揮してくれるはずです”
資生堂の事例
資生堂では、女性リーダー育成のための様々な取り組みを進めており、着実に、結果に表れています(日本国内の資生堂グループの女性管理職比率は34.7%(2021年1月時点)、取締役会での女性比率は46.2%(2021年3月時点)となりました)。
“将来を担う優秀な女性社員を支援する女性リーダー育成塾「NEXT LEADERSHIP SESSION for WOMEN」を2017年から開催しています。この育成塾は、幹部候補の女性社員がマネジメントや経営のスキルを学びながら、自分らしいリーダーシップスタイルを見つけるプログラムです。リーダーシップを発揮する際に陥りやすい壁に対処する方法を学び、女性リーダーによる講演や社員同士のネットワーキング、コーチング等などを組み合わせています。こうした包括的なリーダーシップ育成により、受講者は経営にとって女性の活躍が欠かせないことを学び、自信を深め、さらなるリーダーシップを発揮する支援となっています”
三菱商事の事例
三菱商事では、女性のキャリア形成と継続のために、育児休職からのスムーズな復帰をサポートするための託児所の確保、育児・介護と仕事を両立するための柔軟な勤務時間の設定、配偶者の転勤同行に伴う退職時の再雇用制度の導入など、人事部 健康推進・DE&Iチームが中心となり、各種支援策を講じています。
その結果、女性管理職比率は2010年度の3.8%から、2023年度には12.0%に増加しています。
【課題】仕事と育児・介護の両立支援
人は誰しも、常に仕事に100%の力を注げるわけではありません。特に、育児や介護は仕事よりも優先されるものであり、かつては、育児や介護のタイミングで離職するケースは少なくありませんでした。
しかし、ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)の観点においては、育児や介護をする社員が、仕事と両立できるようにするための支援が求められます。
また、育児や介護の経験は、人の価値観や考え方に大きな影響を与えるものです。ゆえに、育児や介護の経験のある社員の存在は多様性に富んだ組織づくりの観点において非常に好ましいものであると捉えられます。
カルビーの事例
カルビーでは、家庭と仕事の両立支援のための様々な制度を提供しています。「女性の活躍なしにカルビーの成長はない」という信念のもと、女性活躍推進に注力している同社ならではの本気度が感じ取れる支援メニューです。
家庭と仕事の両立支援 | 出生時育児休業 | 子が出生後、8週間までのうち最長4週間取得できる。 |
---|---|---|
育児休業 | 子が2歳になる誕生日前日まで取得できる。 | |
育児短時間勤務 | 1日の所定労働時間5時間以上とし、30分単位で勤務時間を短縮できる(子が小学3年生修了時まで)。 | |
子育て応援休暇 | パートナーの出産予定日より6週前(多胎妊娠の場合は14週前)から、対象となる子が2歳になる誕生日の前日まで、連続または分割で10日間(有給)取得できる。 | |
チャイルドケア休暇 | 出産し復職した従業員を対象として、復職日から1年以内に、連続または分割で5日間(有給)取得できる。 | |
子の看護休暇 | 年間10日間まで、一日または半日あるいは時間単位で取得できる(子が小学3年生修了時まで)。 | |
介護休業 | 要介護対象者1名につき連続1年以内で会社が認めた期間取得できる。 | |
介護短時間勤務 | 1日の所定労働時間が6時間以上とし、30分単位で勤務時間を短縮できる(要介護対象者1名につき3年間で2回まで)。 | |
家族の介護休暇 | 年間10日間まで、一日または半日あるいは時間単位で取得できる。 | |
不妊治療費補助制度 | 配偶者間の不妊治療に要する費用の補助。 | |
出産育児一時金 | 出産費の補助として支給。また、独自に付加給付金を支給。 | |
早く帰ってきてくれてありがとう感謝金(早期復帰感謝金) | 産後1年以内の復職に感謝し、活躍することを期待した支給。 | |
小学校入学祝金 | 子の小学校入学に対する祝金。 | |
学童準備金(フルタイム勤務への準備金) | フルタイム勤務に戻る準備金として支給。 |
積水ハウスの事例
積水ハウスでは、「『わが家』を世界一幸せな場所にする」というグローバルビジョンを実現するためには、まず従業員一人ひとりが幸せになることが重要だと考え、2018年9月より「特別育児休業制度」の運用を開始しています。
“男性の育児休業取得が当たり前になる社会を目指し、「男性従業員の育児休業(育休)1カ月以上の完全取得」を推進しています。2021年11月末時点で、2019年2月の本格運用開始以降に取得期限を迎えた男性従業員1,146人全員が1カ月以上の育休を取得し、取得率は100%となっています”
また、同社では、制度を設けるだけでなく、「家族ミーティングシート」を活用した育児休業取得に向けた家族・職場との話し合いを支援する取り組みも同時に進めています。
“「家族ミーティングシート」をもとに、家族で育児休業取得の時期や、休業中の家事・育児の役割分担についてじっくり話し合いを行います。それを踏まえ、取得計画書を作成。職場の上司と面談を行い、休暇中の業務の引継ぎ等について計画を立てていきます”
参考:男性の育児休業取得を、よりよい社会づくりのきっかけに|多様な働き方の推進|ダイバーシティ&インクルージョン|積水ハウス
日本通運の事例
日本通運では、今後、介護に直面する従業員の急速な増加が見込まれることから、動画研修を推進しています(「仕事と介護の両立の基礎知識講座」の受講者数は 18,005人)。
“2023年度は動画研修「仕事と介護の両立の基礎知識講座」を実施し、介護に関する正しい知識と、仕事との両立の重要性を伝えることで、それぞれの従業員が抱える事情を認め合える風通しの良い職場風土の醸成に取り組んでいます”
【課題】LGBTQ+ の働きやすさの支援
LGBTQ+の方々の働きやすさを高めることは、組織の多様性を高めるだけなく、社内はもちろん、社会全体のLGBTQ+の方々に対する理解を深める(差別や偏見をなくす)ことにもつながります。
任天堂の事例
任天堂では、すべての社員一人ひとりがいきいきと気持ちよく働ける職場環境をつくりたいと考え、インクルーシブな職場環境づくりに関する取り組みを積極的に推進しています。
“任天堂(日本)は、すべての社員一人ひとりがいきいきと気持ちよく働ける職場環境をつくりたいと考えています。この考え方に基づき、「パートナーシップ制度」を導入しています。この制度は、婚姻関係に相当する同性パートナーがいる社員について、社内制度において婚姻と等しく扱うものです。事実婚関係にある異性カップルについても、社内制度において、法律上の婚姻と同等に扱っています”
“社内のハラスメントに関する規程において、性的指向・性自認に関する差別的な発言や、いわゆる「アウティング」行為を明確に禁止しています。そして、研修を通じて「悪意のない言動であっても当事者に大きな精神的苦痛を与える可能性がある」ことについて注意喚起し、気持ちよく働ける職場環境づくりへの理解と協力をすべての社員に対して呼びかけています”
日産自動車の事例
日産自動車では、LGBTQ+の当事者にとって働きやすい職場を目指し、全従業員が性自認、性的指向の多様性について理解促進を進める風土醸成と、本人向けの制度・設備の充実、そして社会への発信の3つの柱で活動に取り組んでいます。
<LGBTQ+にかかわる理解促進活動事例>
- LGBTQ+セミナー
2014年から毎年開催。社外からのゲストスピーカーをお招きし、従業員が積極的に学ぶ、考える機会の提供
- LGBTQ+ e-ラーニング
全従業員必須研修として展開
- イベント参加
日本最大の LGBTQイベント「東京レインボープライド」に2017年から参加
本田技研工業(Honda)の事例
Hondaでは、ダイバーシティにおけるありたき姿を「多様な属性・価値観を持つ“個”が活き活きと輝くことで企業総合力の最大発揮をめざす」と描き、2019年より、性自認・性的指向・性表現などの多様な個を尊重し、LGBTQ+を自然に受け入れ、一人ひとりが自分らしく、個々の能力を存分に発揮でき、働きがいを感じられる風土醸成および制度と環境整備に取り組んでいます。
<取り組み内容>
風土醸成 | 経営層・部長層セミナー、アライセミナー、管理職含む全従業員対象eラーニング、LGBT相談窓口 |
---|---|
制度整備 | 同性パートナーへの制度、ワーキングネーム、採用活動、健康診断、ユニバーサルトイレ・厚生施設 |
企業活動 | 東京レインボープライドへ協賛、Business for Marriage Equality(婚姻の平等、同性婚の法制化)へ賛同 |
【課題】外国籍の社員(異なる言語や文化)への支援
多様性に富んだ組織づくりを志向するダイバーシティ&インクルージョン(D&I)の取り組みは、ボーダーレスです。
グローバルなビジネスを手掛ける企業はもちろん、ドメスティックなビジネスを展開する企業においても、「優秀な人材採用」や「国内の労働人口の減少に対する対策」の観点で外国籍の社員への支援が求められるようになっていくことが予想されます。
LINEヤフーの事例
LINEヤフーでは、外国籍社員へのサポートを行う専門組織を設置し、日本で就業するにあたって直面するさまざまな課題の解決を支援する取り組みを行っています。
多言語で働く環境づくり | 社内のテキストコミュニケーションツールは日本語・英語・韓国語を自動翻訳できる機能を備え、コミュニケーション促進に活用されています。 英語と韓国語の通訳・翻訳専門部門が設置されており、当社独自の表現や専門用語に対応した通訳や翻訳を行っています。全社員向けのメッセージや全社員イベントは、日本語・英語・韓国語での翻訳、通訳が同時提供されています。 業務上、語学力の向上が必要となる社員には、英語、韓国語の語学研修が提供されます。 |
多文化な働く環境づくり | 紀尾井町オフィス内の静かなエリアには、宗教や宗派を問わずに利用できる「祈祷室」を設置しています。 社内のカフェ・レストランでは、提供するメニューの材料情報を社員が把握できるように表示することで、宗教上の理由から食べられない食材がある社員もメニューを選びやすくなるよう整えています。 |
【課題】障がい者雇用の促進・働きやすさの支援
障がい者雇用については、1960年(昭和35年)に制定された障害者雇用促進法のもとに、国を挙げての取り組みが行われています。
ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)の多様性に富んだ組織づくりの観点においても、障がい者雇用の促進(単に雇用を増やすのではなく、働きやすさ・働きがいを高めることを含む)は重要な課題です。
マネーフォワードの事例
マネーフォワードでは、2022年6月から、障がい者雇用メンバーの働きやすさを考えた、新しい評価・報酬の仕組みを定義する「インクルーシブコース」を開始しています。
“障がいのあるメンバーは、勤務時間や目標の立て方など個別の事情に基づいた働き方は必要であるものの、働くということに関して他のメンバーと大きく違わない。だとすれば、Talent Forwardの精神に則って、彼らがキャリアを前に進めることができる環境を整えることを最優先すべきだと思い至りました”
“障がい者手帳を持っている、というだけの理由で、キャリアが閉ざされてしまうことをなくし、マネーフォワードで働くすべてのメンバーが、同じように働く時間を楽しみ、キャリアや人生を前に進める経験ができる環境づくりをするために、適切な制度の制定が必要だと感じていました”
“「インクルーシブコース」の制定により、障がいを持っている方に対して、目標やキャリアパスについて個別の配慮をしつつ、明確なグレード要件や報酬制度を提示することで、適切なキャリアパスを描くことができるようになりました。”
参考:あらゆる人が孤立したり排除されず、適切なステップでキャリアを描くことを目指す「インクルーシブコース」制定の話|chikako yasue
DeNAの事例
DeNAでは、障がい者雇用の促進を積極的に進めています。
国が定める民間企業の障がい者の法定雇用率は2024年4月に従来の2.3%から2.5%に引き上げられていますが、同社の2022年度の障がい者雇用率は3.1%と高い水準にあります。
“DeNAグループでは、障がいの有無にかかわらず、メンバーがそれぞれの個性に合った形で責任のある業務に取り組むことができる環境を提供することにより、多くの方の活躍の機会を創っています。
特に新潟カスタマーサポートセンターでは、より多くの就業意欲のある障がいをお持ちの方に活躍していただくため、「働きたいが通勤が難しい」という方の働き方の一つの選択肢として、2015年度より在宅での勤務形態を開始いたしました。
2020年には、障がい者が活躍できる機会を増やすことを目的にした子会社、『株式会社DeNAビジネスコミュニケーションズ』を設立し、新潟県新潟市に支社を設置し、DeNAグループから委託されたカスタマーサポート業務等を担い、障がい者の雇用機会の拡大と、働きやすい環境のサポート体制の充実を図ります。また、マッサージルームを福利厚生のひとつとして設置し、視覚障がいのある方を採用し、従業員の生産性向上のために、日々施術などのサービスを提供しています。
2022年度の障がい者雇用率は3.1%となっています。社員の多様性を強みの源泉としているDeNAは、一人でも多くの障がいのある方が社会に出て自律的に生活することができる社会の一翼を担うために、これからも障がい者雇用を推進していきます”
日本生命の事例
日本生命では、1993年、障がいのある人を積極的に雇用するため保険業界で初の特例子会社「ニッセイ・ニュークリエーション」を設立。
「お互いの障がいを理解し、支え合う」企業文化のもと、394名(2023年4月時点)の障がいのある社員が働いています。また、働きやすい職場作りに加え、障がい者や障がい者雇用についての理解を深める活動に積極的に取組んでいます。
“障がい者や障がい者雇用についての理解を深める活動では、 約1,400名の職場見学者・職場実習者(2022年度)を受け入れるとともに、多数の社員が日本生命をはじめとする企業の人権研修や障害者職業生活相談員資格認定講習等の講師を務めています”
【課題】シニアの活躍支援
シニアの支援は、ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)に加えて、リスキリングや人的資本経営の観点でも重視されている課題です。再雇用制度の拡充、ライフプランニングやキャリア形成の支援など、様々な取り組みが求められています。
サントリーの事例
サントリーでは、社会活力の維持発展のためには意欲あるシニア層の活躍の舞台を拡げることは極めて重要であるという認識のもとに、シニア層の多様な働き方支援を行っています。
“サントリーは、世に先駆けて2013年に65歳定年制を導入。以後、60歳に到達した従業員も引き続き、持ち味を発揮し働きがいを持ってイキイキと活躍しています。こうした状況を踏まえ、2020年、65歳定年後再雇用制度を導入しました。本人・会社が合意すれば最大70歳まで単年契約を更新できる仕組みであり、人生100年時代に向けて新たな選択肢を提供するものです。また従来より、50代のうちに必ず受講する「キャリアワークショップ」や「ライフプランセミナー」で、シニア期のキャリア・ライフを考える機会を提供してきました。常に新たな可能性を探りチャレンジによって輝き続けるシニアの存在は、組織にも新たな活力をもたらします。やってみなはれ精神のもと、一人ひとりが存分に個性を発揮できるよう取り組んでいきます”
“人生100年時代におけるオープンなキャリアパスの構築を目指すサントリーでは、内閣府の「地方創生人材支援」の枠組みに基づき地方自治体に従業員を派遣しています。これは、日本全体の課題である地方の活性化に向けて、企業で経験を積んだ人材が自治体で貢献する仕組みです。 シニア層の新たなキャリア開発につながると同時に、サントリーグループの理念である「利益三分主義」を、人を通じて実行することにもつながると考えており、毎年の社内公募には多数の応募があります。現在、約10人の従業員が自治体で活躍しており、今後も継続して拡大実施していく予定です”
NECの事例
NECでは、60歳以降も働くことを希望する従業員に対して、定年後の再雇用制度を導入している他、NECグループ内外の職場への派遣・斡旋を通じた、シニア層の多様な働き方の支援に取り組んでいます。
“2021年度からNECライフキャリアによる従業員のキャリアオーナーシップ向上のためのキャリア相談やマッチングサービスの提供を開始。シニア人材が長期的に、自分のライフスタイルに合わせた働き方で社会に貢献する機会を開拓”
この記事の著者について
池田 信人
自動車メーカーの社内SE、人材紹介会社の法人営業、新卒採用支援会社の事業企画・メディア運営(マーケティング)を経て、2019年に独立。人と組織のマッチングの可能性を追求する、就活・転職メディア「ニャンキャリア」を運営。プロジェクトデザインではマーケティング部のマネージャーを務める。無類の猫好き。しかし猫アレルギー。
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