リテラシーとは?意味と重要性、リテラシーを高める方法
- 最終更新日:2024-03-07
ITリテラシー、金融リテラシー、メディアリテラシー。
私たちの身近で使われている「リテラシー」という言葉について、その意味や重要性を分かりやすく解説します。また、リテラシーを高める方法もご紹介します。
リテラシーとは
読み書き能力(識字)の重要性を高めるために、UNESCO(国連教育科学文化機関)が制定した記念日の国際識字デー。
この国際識字デーの英語表記は「International Literacy Day」であることからも分かるように、リテラシー(Literacy )とは、読み書き能力を指す言葉です。
その上で、リテラシーが「〇〇リテラシー」の名称で使われる場合においては、知識の活用能力という意味を帯びます。ゆえに、ITリテラシーはITに関する知識の活用能力であり、金融リテラシーは金融に関わる知識の活用能力を意味します。
リテラシーの類語
リテラシーという言葉の意味を正しく捉える上では、類語との違いを知ることが近道です。本稿ではリテラシーの類語に限らず、実質的に混同されて使われている言葉を含めて、リテラシーとの意味の違いをご紹介します。
スキルとリテラシーの違い
スキルとは、技能(人間が持つ技に関する能力)を意味する言葉です。
人間の能力という側面において、スキルとリテラシーは同じです。その上で、スキルは仕事の遂行能力を指すのに対して、リテラシーは日常における知識の活用能力を指します。つまり、能力を発揮する場面が異なります。
また、スキルは高度な能力であり、スキルの習得・研鑽には多くの時間を要します。それに対して、リテラシーはスキルよりも習得が容易である点も大きな違いになります。
ナレッジとリテラシーの違い
ナレッジとは、その名の通り、知識(knowledge)を意味する言葉です。
ビジネスシーンにおいては、組織にとって有益な情報をナレッジと呼びます。例えば、社内に蓄積されている業界知識やビジネスノウハウ、社員が持つ業務知識や独自ノウハウはナレッジと言えるものです。
リテラシーもある種の知識やノウハウであるため、ナレッジとノウハウは似ています。ただ、その上で、ナレッジが特定の組織を対象とするのに対してリテラシーは対象を限定しません。多くの人にとって役立つ知識やノウハウこそがリテラシーです。
コンピテンシーとリテラシーの違い
コンピテンシーとは、組織のハイパフォーマーに共通する行動特性(思考や行動の傾向)を意味する言葉です。主に、採用選考・人事考課・キャリア開発の指標(コンピテンシーモデル)として用いられます。
コンピテンシーが組織の中でハイパフォーマンスを発揮するための能力であることを考慮すると、コンピテンシーはスキルに近い意味があることが分かります。つまり、コンピテンシーとリテラシーは混同されて使われているケースがありつつも、実際の意味は大きく異なります。
なぜ、リテラシーは重要なのか?
今の時代、私たちが日常を安心安全に、かつ、豊かに過ごしていく上では、ITや金融、メディアと正しく付き合っていく必要があります。そのために重要になるものがリテラシーです。
これまでも・これからも進化を続ける便利なITや金融のサービスの恩恵を受けるために、また、巧妙な詐欺の手口やAIを悪用したフェイクニュースなどによる被害を避けるために、リテラシーを高める(新しい知識を獲得し、それを活用する術を身に付ける)必要があります。
企業としても、社員の安心安全を守る・会社の信用を守る観点、会社に依存しないキャリア形成や資産形成を後押しする観点において、社員のリテラシーを高める支援をすることには、大きな意義があります。
リテラシーの種類
ITリテラシー
ITリテラシーとは、IT(情報技術)に関する知識の活用能力です。
パソコンやスマートフォンなどの活用に関わるコンピューターリテラシー、機密データの情報漏洩やIT機器のウイルス感染を防ぐためのセキュリティリテラシー、インターネットを正しく使うためのネットリテラシーなどを総称してITリテラシーと呼びます(近年ではデジタルリテラシーと呼ばれることもあります)。
昔から、ITの技術革新のスピードはドッグイヤー(1年間で人間の7倍のスピードで成長する犬のように変化のスピードが速い)と言われる通り、私たちに求められるITリテラシーの水準は高まるばかりです。
金融リテラシー
金融リテラシーとは、金融に関する知識の活用能力です。
家計管理(主に収支管理)や生活設計(ライフプランに応じたお金の計画)の知識、金融商品(株式や保険、不動産など)や金融サービスに関するリスクとリターンの知識、金融トラブルに関する知識など、金融リテラシーがカバーする範囲は多岐に渡ります。
2001年から始まった企業年金を個人が運用する流れ(企業型確定拠出年金、iDeCo)や、2014年に開始したNISA(少額投資非課税制度)に代表される個人の資産運用の推奨など、今は、個人が金融資産を運用する時代だからこそ、金融リテラシーの重要性は今後も高まっていくことが想定されます。
メディアリテラシー
メディアリテラシーとは、テレビ・新聞・雑誌・ラジオ・インターネットなどの各種メディアの情報を適切に活用する能力です。メディアの情報を鵜呑みにせずに、主体的に活用していく能力とも言えます。
近年では、SNS上に真偽不明の情報が飛び交い、AIを悪用したフェイク動画が話題になるなど、新しい技術やサービスの普及によって、より高いレベルのメディアリテラシーが求められるようになっていくことが考えられます。
リテラシーを高める方法
リテラシーは多くの場合において、日常の中で発揮されるものである以上、個人の日常生活の中でリテラシーを学び、実践することを通じてリテラシーを高めていくことが推奨されます。
しかしながら、日々を忙しく過ごしている現代人(特に仕事に多忙なビジネスパーソン)には、プライベートで新しいことを学ぶ時間を確保しづらい問題があります。その問題解決アプローチとして、社員のリテラシーを高めるために組織が支援できる施策をご紹介します。
研修・eラーニング
リテラシーには知識をインプットすればすぐに使いこなせるリテラシーもあれば、トレーニングが必要になるリテラシーもあります。前者の場合はeラーニングが効率的です。後者の場合は実践形式の研修を行うと良いでしょう。
また、求められるリテラシーの内容は常に変化していくので、毎年リテラシーに関する研修を実施することが理想です。それが難しい場合は、新入社員研修や階層別研修(リーダー研修、管理職研修など)の節目節目のタイミングで広範囲に継続的に実施していくことが推奨されます。
ちなみに、リテラシー(知識の活用能力)を高める上では、ロジカルシンキングを習得することもお勧めです。知識をインプットし、それをリテラシーに昇華する過程では、自分の頭で考える工程を経る必要があります。その際に、考えるスキルであるロジカルシンキングの能力が問われます。
<ご案内>
ロジカルシンキングの詳細については下記の記事をご覧ください。ロジカルシンキングの意味やフレームワーク、論理的思考力を鍛える方法について分かりやすく解説します。
社内報や社内SNSの活用
社内報の中でリテラシーを高めるための情報を伝えていく。社内SNS(コミュニケーションツール)上でリテラシー向上に役立つ世間のニュースを共有する。そういった社内向けの情報提供を活性化させることで、社員のリテラシーを高められます。
もちろん、朝会や定例会議、勉強会を実施している会社の場合は、そういった場でリテラシーを高めるための情報提供・共有を行うと良いでしょう。
この記事の著者について
執筆者プロフィール
池田 信人
自動車メーカーの社内SE、人材紹介会社の法人営業、新卒採用支援会社の事業企画・メディア運営(マーケティング)を経て、2019年に独立。人と組織のマッチングの可能性を追求する、就活・転職メディア「ニャンキャリア」を運営。プロジェクトデザインではマーケティング部のマネージャーを務める。無類の猫好き。しかし猫アレルギー。
監修者プロフィール
亀井 直人
鳥取県立鳥取東高等学校卒業、福岡工業大学情報工学部情報通信工学科卒業。SE(インフラエンジニア)として長く経験を積む。プロジェクト遂行におけるチームのパフォーマンスを引き出すためにファシリテーション技術の習得・実践を続ける。特定非営利活動法人日本ファシリテーション協会では役員(2016年~2021年理事、2019年~2021年副会長)を務める。富士ゼロックス福岡在籍中にSDGsとビジネスゲーム「2030SDGs」に出会う。ビジネスゲームが持つ力の素晴らしさに触れ、2020年に研修部マネージャーとしてプロジェクトデザインに合流する。活動を通じて関わり合う方々との対話を楽しみにしている。鳥取県鳥取市出身。蟹と麦チョコが大好き。
- 経済産業省認定情報セキュリティスペシャリスト
- PMP(Project Management Professional)
- NPO法人 SDGs Association 熊本 監事
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