オンライン研修の検討・やり方マニュアル
- 最終更新日:2023-11-17
コロナ禍をきっかけに、私たちのコミュニケーションはオンラインへとシフトしています。
オンライン商談、オンライン接客、オンライン会社説明会、オンライン面接、オンラインツアー、オンライン工場見学、テレワーク……
これまでは対面で行われることが当たり前であったコミュニケーションの多くがオンラインへと切り替わりました。研修も例外ではありません。今や、オンライン研修は集合研修と並ぶ研修実施形態になっています。
そこで本稿では、オンライン研修を検討・導入する際の視点・考え方と、オンライン研修を実施する際に使えるノウハウをご紹介します。貴社ならではのオンライン研修を検討される際にお役に立てることがあれば嬉しく思います。
オンライン研修とは
オンライン研修とは「Zoom」や「Microsoft Teams」などのビデオミーティングシステム(Web会議システム)や「YouTube」などの動画配信システムを活用したオンライン環境下で行われる研修の総称です。
個人で受講するeラーニングとの対比で、オンライン集合研修と言われることもあります。
オンライン研修の種類
オンライン集合研修
一般的に「オンライン研修」と言うと、オンラインでリアルタイムに受講する集合型の研修を指します。受講者や講師が同じ時間・同じオンライン上の場所に集まって研修を行います。
※本稿ではオンライン研修=オンライン集合研修として扱います。
eラーニング
eラーニングは、オンライン上の学習コンテンツを自分の好きなタイミングで受講することができる個人研修です(個人学習と言った方が適切かもしれません)。
B2B(企業研修)におけるeラーニングではLMS(Learning Management System)と呼ばれる学習状況や学習成績の管理システムが利用されます。B2C(個人学習)におけるeラーニングは「Youtube」などの動画配信サービスを通じて提供されます。
オンライン研修が注目されている背景
オンライン研修の歴史は、eラーニングから始まります。
1995年にリリースされた「Microsoft Windows 95」が搭載されたパソコンの爆発的な普及に伴い、パソコン上で学習ができるCD-ROMの学習コンテンツが提供されるようになりました。CBT(Computer-Based-Training)と呼ばれる学習手法です。
そして、パソコンのスペックの進化とインターネットの普及(特に、回線速度の大幅な向上)が相まってオンライン上の学習コンテンツを利用できる下地が整い始めたのが2000年代初頭。
この頃からWBT(Web Based Training)と呼ばれる学習手法が普及し始めました(現在のeラーニングはこのWBTが主流です)。
研修という観点では、eラーニングはB2Cの個人学習の文脈で利用されることが多く、B2Bにおける企業研修では集合研修を実施するケースが一般的でしたが、その潮目が変わったのがコロナ禍です。テレワーク(リモートワーク)前提で働かざるを得ない以上、研修もオンライン化が必要となり、オンライン集合研修が一気に普及しました。
この流れは一過性のものではありません。
テレワークは仕事の効率性の面で優れていることに加え、働き方改革やダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン(DE&I)の取り組みとの相性が良いことが知られています。コロナ禍を乗り越えた先のポストコロナ時代の組織運営や人材育成をテレワーク前提で考えるのは自然なことではないでしょうか。
そうなると、当然ながら、オンライン研修は今後も有力な研修実施形態として位置づけられることになります。事実、パーソル総合研究所が実施した「コロナ禍における研修のオンライン化に関する調査」でもオンライン研修シフトの潮流を読み取ることができます。
“多数の従業員に対して研修を一斉に行う「集合研修」について、コロナ禍を受けてどのくらいオンライン化が進んでいるかをみたところ、オンライン集合研修を増やした企業の割合は75.0%であった”
“現時点ですでにオンライン集合研修を実施している企業のうち、今後も既存の研修をオンラインに置き換えていきたい企業の割合は全体平均で80.4%であった。さらに、オンライン集合研修で成果(研修目的の達成・実務への貢献)が得られている企業に限ってみると、その割合は90.0%にも及ぶ。なお、成果が得られていない企業でも65.2%がオンラインに置き換えようとしている”
参考:パーソル総合研究所、オンライン研修の実態に関する調査結果を発表コロナ禍で進む集合研修のオンライン化。企業の75%が増えたと回答 – パーソル総合研究所
企業の事例から見える、オンライン研修の未来
この先、オンライン研修はどのような広がりや進化を見せていくのでしょうか? その未来を占う上で参考になる、幾つかの事例をご紹介します。
本田技研工業のオンライン研修の事例
本田技研工業は、2020年に600人の新入社員にオンライン研修を実施しました。
“例年、一律で一方的な座学が続いていたことから、新入社員の受け身の姿勢を醸成しているのではないか、といったことを考えていました。つまり、主体性を身に着けてもらうことが課題です。もっと個々の意見や行動を引き出すためには、新入社員一人ひとりが内省を深め、気づきと学びを得られる施策が必要だと考えていました。コロナ以前はOJTの強化などを考えていましたが、オンライン化にともない、学びをアウトプットしてもらう機会を増やすことでその課題を改善することにしました。長期間にわたる研修期間を決して無駄にはせず、新入社員が個々の意見を表出し、互いに気づき、学び合える時間を提供したいという想いです”
参考:コロナ禍で激変した新入社員研修。オンラインで600名を育てた研修担当の原動力とは|Me and Honda, Career
凸版印刷のオンライン研修の事例
凸版印刷では、2022年度新入社員研修において、メタバース上に新入社員同士の交流を促進できる場を用意することを発表しました。
“凸版印刷が開発したスマートフォンアプリ「メタパ™」を、研修期間における「コミュニケーション」用途に新しくカスタマイズしました。メタバース上で会話する相手を自由に選び、リアルの場での会話の様な物理的距離感を体感しながらコミュニケーションをとることができます。また、新入社員同士だけでなく、先輩社員(トレーナー)とのコミュニケーションの場としても活用します。これにより、コロナ禍の入社における新入社員の不安を払拭する手厚いサポート体制を、メタバース上でも整備していきます”
さて、この2つの事例には、ひとつの共通点があります。それは「これまでの研修を進化させる方向性の取り組み」であること。
本田技研では、これまでの集合研修をただオンライン化させるだけでなく、集合研修が抱えていた問題を解決すべく研修内容を進化させました。凸版印刷はオンラインという特性を最大限活かす方向に集合研修を進化させています。
私たちは集合研修に慣れ過ぎているばかりに「オンライン研修は、既存の集合研修のオンライン版でしかない(集合研修と比べて不便が多い)」と捉えがちです。
確かに、オンライン研修には集合研修と比較して劣る面もあります。ですが、オンライン研修だからこそ可能なこと、オンライン研修が優れる面に向き合うことで、既存の集合研修を進化させることができる側面があります。
今回の2つの事例からは、そんな可能性のある未来を想像することができます。
オンライン研修を検討・導入する際の視点
「自社の研修は集合研修が良いのか、それとも、オンライン研修が良いのか?」。この問いの答えを導くには、それぞれのメリットやデメリットについて、幾つかの側面と視点から立体的に考える必要があります。
※物事は多くの場合において多面体です。ゆえに、集合研修とオンライン研修のどちらが良いか? という問いの答えも、それを見る角度によって変わってきます。だからこそ、サイコロを振るように面を変えながら考えを巡らせることが重要です。
コストの側面
移動コスト視点
移動コスト視点ではオンライン研修がお勧めです。
集合研修では研修受講者を集める際に宿泊交通費と移動時間分の余分な人件費がかかります。特に会社の規模が大きい場合は各拠点に散らばる研修受講者の大移動に伴うコスト負担が重荷になります。
もちろん、オンライン研修は自宅から受講できるので宿泊交通費と移動時間は不要です。
会場コスト視点
会場コスト視点でもオンライン研修に軍配が上がります。
大企業であれば社内の大会議室を利用できるので会場コストは抑えられますが、そうでない企業群では外部会場を借りる必要性があります(近年ではテレワークの普及に伴い、オフィスを解約するケースやより小規模なオフィスに移転する企業も増えつつあります)。
※オンライン研修の場合は「Zoom」「Microsoft Teams」「Google Meet」などのツールの利用料が必要になりますが、外部会場を借りるコストと比較すると格安です。
準備コスト視点
準備コスト視点では集合研修とオンライン研修は一長一短です。
集合研修では、配布資料の印刷、昼食や懇親会の手配、受付や会場準備スタッフのアサインなどの準備が必要です。
オンライン研修では、集合研修に必要な準備はかなりの割合で削減できる一方で、事前の通信テストやツールの利用マニュアルの整備、オンライン環境ならではのトラブルに対応をするテクニカルサポートスタッフのアサインなどの準備が別途必要になります。
社内環境の側面
テレワーク視点
IT企業やシステムエンジニアなどのテレワークが進んでいる業種・職種においてはオンライン研修を実施することに問題はほとんどありません。一方で、テレワークが進んでいない業種・職種の場合はオンライン研修の実施ハードルが上がります。
PCやインターネット環境はコストをかければ整備できますが、社員(研修受講者)のITスキルやITリテラシーを高めるには一定の時間がかかるため、集合研修の方が合理的です。
ネットワークセキュリティ視点
ネットワークセキュリティが厳しい企業では、外部のツールを使ったオンライン研修の実施が困難な可能性があるため、社内のシステム部門に事前確認しておくことを推奨します。
また、オンライン研修では研修受講者側にセキュリティへの配慮が求められます。自宅からの参加は個室を使う、他人の視線や雑音がある場所からの参加を認めない、などのルールの運用が難しい場合は、やはり集合研修が好ましいと言えます。
研修受講者の側面
拠点責任者の視点
全国各地の拠点責任者を集めて研修を行う場合はオンライン研修がお勧めです。研修会場への移動時間を節約できる分、拠点責任者の貴重な時間を有効活用できます。
また、多忙な拠点責任者のスケジュール調整もオンライン研修の方がスムーズです(集合研修は研修日程に移動日程を加えた長期の時間枠を抑える必要がありますが、オンライン研修では研修日程の時間枠だけを抑えれば良いので調整をしやすくなります)。
内定者の視点
内定者は居住地が全国各地に散らばっているケースが多いため集合研修をすること自体が困難ですが、オンライン研修であれば気軽に参加できます(海外からの参加も可能です)。
「従来は時間やコストの観点で集めることができなかった対象に研修を実施することが可能になる」というのは、オンライン研修ならではのメリットです。
休暇や休業中の社員視点
育児休暇中・介護休業中の社員への研修はオンライン研修がお勧めです。それは自宅から参加可能という面だけでなく、以下のような面での利点があるからです。
- 画面オフ・自分の声をミュートにして耳だけ参加することが可能(まだ誰にも預けたことのない乳児や介護が必要な家族がそばにいる状態でも大丈夫)
- オンライン研修は録画も可能なため、やむを得ない理由で急遽欠席となった場合に、後で見返すことが可能
学習目的の側面
知識習得の視点
専門知識やノウハウを習得する上ではオンライン研修がお勧めです。特に、自分のペースで進めることができるeラーニングが向いています。
LMS(学習管理システム)を利用することで社員の学習状況の進捗を確認できます。知識やノウハウを習得するには、きちんと時間を取って学習することが重要になる中で、LMSを活用して継続的な個人学習を促すことは大きな利点になります。
実務スキル習得視点
実務スキルを習得するには現場での実践の繰り返しが重要です。その上で、研修の場での習得を考えるならば集合研修がお勧めです。オンライン研修でPCのディスプレイの画面越しに指導をするのには限界があります。
ただ、近年ではオンライン研修の研修手法も進化しています。実務スキルの習得に適したオンライン研修もあるので、それを試してみるのは良いでしょう。
関係構築視点
社員同士のコミュニケーションやチームビルディングなどの関係構築を目的とした研修は集合研修が最適です。特に、研修後の親睦会を含めた関係構築となると集合研修一択です。
その上で、オンライン研修でも、グループワーク研修やビジネスゲーム研修などの関係構築の目的に適した研修手法を採用することで、十分な関係構築を実現することができます。
研修手法の側面
講義(座学)研修の視点
講義研修は、最もスタンダードな研修手法です。
学校教育や学習塾がそうであるように、集団に対して知識を伝達する手法として非常に優れています。その一方で、講師から受講者への一方通行のコミュニケーションスタイルになるため、受講者側が受け身になりがちな点は要注意です。
この講義研修は、集合研修とオンライン研修のどちらともお勧めです。
ですが、オンライン研修は受講者はPCのディスプレイ画面を見続ける必要があるため、目や肩や腰が疲れやすく精神的な疲れも溜まりやすい点には注意が必要です(オンライン研修を実施する場合は休憩は多めに取ることが推奨されます)。
ゲーム研修の視点
受講者同士が楽しみながら取り組むゲーム研修はアイスブレイク(場の緊張をほぐすこと)や関係構築効果を狙う上で有効な研修手法になります。
ゲーム研修を実施する場合は、集合研修・オンライン研修のどちらもお勧めです。対面の方が向いているゲームもあれば、オンラインだからこその価値があるゲームもあります。まずは、どんなゲームがあるのかを調べてみることをお勧めします。
グループワーク研修の視点
グループワーク研修は受講者が数名単位のグループに分かれて課題に取り組む研修手法です。実践型の研修手法として広く利用されています。
また、グループワークはアセスメントにも活用できる利点があります。評価者がグループワークに取り組む新人の様子を観察することで、配属先の検討材料を集めることも可能です。
このグループワーク研修は一般的に集合研修での実施が推奨されますが、オンライン集合研修でも実施可能です。チャット機能を使うことで質疑応答が可能になり、ブレイクアウトルーム機能を活用すればオンライン上でのグループワークができるようになります。
ロールプレイング研修の視点
実際の業務を題材にしたロールプレイング研修は実務スキルの習得に最適な研修手法です。
営業の商談やビジネスマナーなどの実際の状況を想定したトレーニングを行うことで、現場で活きるスキルを身に付けることが可能です。また、若手社員をロープレ担当(ロープレ相手となる上司や顧客役)にアサインすることで、若手社員の指導力育成も兼ねることができます。
このロールプレイング研修は集合研修がお勧めですが、オンライン商談のようなシチュエーションでの演習を想定すると、それはオンライン研修の方が良いと言えます。
ビジネスゲーム研修の視点
ビジネスゲーム研修はビジネスのシミュレーション(模擬訓練)ゲームを活用した研修手法です。
ビジネスゲームでは、現実の世界における経済活動や社会活動のエッセンス(本質的要素)を抽出し、繰り返しトレーニングできるようにゲームとして表現しています。
現実の世界では、活動の結果と経験を得るためには多くの時間と労力が必要になりますが、ビジネスゲームでは、短時間で活動の結果と経験(成功体験や失敗体験)を得ることができます。
この「高速経験学習」に使えるビジネスゲームは、集合研修とオンライン研修のどちらにもお勧めできます。
私たちプロジェクトデザインは、人と組織・社会の課題をビジネスゲームで解決する会社として、2010年の創業以来、200種類を超えるビジネスゲームを開発してきました。私たちのビジネスゲームを活用した研修は企業・官公庁・学校・国連本部等の様々な組織で実施されています(これまでに20カ国・20万人以上の方々に体験いただいています)。
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オンライン研修のやり方(実施フロー)
オンライン研修の導入を決定した後に必要なことは、実施に向けた準備です。これからご紹介するオンライン研修のやり方(実施フロー)を参考に準備を進めることを推奨します。
1. 受講環境の準備
オンライン研修受講者が快適に(ストレスなく)研修を受けるためには適切なPCとネットワーク環境、イヤホンやマイクを用意する必要があります。
PCとネットワーク環境
- PCの種類
ノートPCを推奨(スマートフォンはオンライン研修には不向きです。デスクトップPCでも問題ありませんが、新規購入するのであればテレワークや出張などにも利用できるノートPCがお勧めです) - ディスプレイの画面サイズ
12~14インチを推奨(オンライン研修では一度に複数の画面を表示させることも多いので画面サイズは大きい方が良いです。別途外付けの大型ディスプレイを用意する場合はノートPCのディスプレイの画面サイズは小型でも問題ありません) - メモリ
8GB以上を推奨(Zoomなどのビデオミーティングシステムは4GB推奨ですが、オンライン研修では複数のブラウザやアプリケーションを使用することが多いので8GBは欲しいです。今後のツールの進化を踏まえると16GBあると安心です) - OSやブラウザ、ネットワーク
以下の記事を参考にしてみてください参考:Zoom/Google Meet/Microsoft Teamsに必要なOS・ブラウザ・帯域幅(回線速度)まとめ
イヤホン
- 通常のイヤホン
特に外部の音が気にならない環境であれば一般的なイヤホンで十分です - ヘッドホン
外部の音を遮断したい場合はヘッドホンを推奨(イヤホンを長時間装着すると耳が痛くなる人にもお勧めです) - 骨伝導イヤホン
外部の音も聞こえる状態でオンライン研修に参加したい人、ヘッドホンを使っているが肩コリが気になる人にお勧めです(ただし、Bluetoothを使用するため、電波干渉による音飛びが起きることもあります)
マイク
- PCの内臓マイク
PCの内蔵マイクで問題がなければ特にマイクを用意する必要はありません(ただし、周囲の雑音を拾いやすかったり、音量が小さいなどのトラブルの元になりやすいので、あまりお勧めできません) - ヘッドセット
単一指向性のヘッドセットを推奨(周囲の雑音を拾いにくいです) - コンデンサーマイク
収音性や音質を重視する場合はお勧め(雑音を拾いやすいデメリットがあります)
2. テスト
オンライン研修で頻繁に起きるトラブル(下記)に対応するためには事前準備としてテストをしっかりと行うことが重要です。
- 相手の声が聞こえない
- 自分の声が相手に聞こえない
- カメラが映らない
- ツールの操作が分からない
- ネット回線が繋がらない
マニュアル整備
以下のマニュアルを整備することを推奨します。
- ツールの設定マニュアル
「Zoom」や「Microsoft Teams」などのツール上でのマイクやイヤホン、カメラやバーチャル背景の設定方法についてマニュアルを作りましょう(チェックリスト・箇条書き形式の簡易的なものでも構いません) - トラブルシューティングマニュアル
冒頭で述べた「オンライン研修で良く起こるトラブル」が起きた場合に、どのように対応すべきかの手順を記したマニュアルを用意しておくとベターです(オンライン研修時にテクニカルスタッフが適宜対応する運用でも可)
接続テスト
研修受講者に対して、オンライン研修で使用するツールに接続してもらい、以下の項目についてテストを実施しましょう。
また、テストは実施日程を決めて全員(または、多人数)でのテストを推奨します。そうすることでネットワーク負荷がかかった状況での通信の安定性をテストできます。
- 映像(カメラ)テスト
きちんと自分の顔が映っているか(他の受講者の顔が見えるか)をチェックします - 音声(マイク)テスト
受講者に発声してもらいながら、声をちゃんと聞き取れるかをチェックします - ツールの機能テスト
画面共有機能やブレイクアウトルーム機能などのツールの機能を使った際に支障がないかをチェックします(研修時にグループワークを行う場合は必須のテストです)
3. 研修実施
テストを終えた後は、いよいよ本番です。オンライン研修の本番に使えるノウハウ(Tips)をご紹介します。
受講者の集中力を維持するためのノウハウ
オンライン研修では受講者がPCの画面を常に見続ける必要があります。また、自身の顔をカメラに映し続ける必要があるため、常に研修講師や他の受講者から見られているプレッシャーを感じます。
つまり、オンライン研修では集合研修に比べて目や肩や腰が疲れやすく、精神的な疲れも溜まりやすいため、集中力を維持することが難しい傾向にあります。
ゆえに、受講者の集中力を維持する観点での工夫を推奨します。
<ノウハウ>
- 休憩の頻度を増やす(30~60分ごとに5~10分の休憩を推奨)
- 研修講師の講義パートでは受講者側のカメラはオフにすることを促す
- 講義とグループワークを交互に行う(単調にならないような構成にする)
- 事前課題や事後課題を取り入れて、オンライン研修の所要時間を短くする
受講者の理解度に合わせた柔軟な対応を取るためのノウハウ
オンライン研修の場合、PCの画面越しのコミュニケーションになるため、講師が受講者の反応を読み取ることが難しくなります。
受講者の理解度に合わせた柔軟な対応を取るための仕掛けをつくることが推奨されます。
<ノウハウ>
- 研修開始のタイミングで「分からないことがあれば、チャット欄に質問内容を投稿しましょう」とアナウンスする
- アナウンスするだけではチャット欄に質問が挙がってこない可能性を考慮し、質問例を伝える(こんな初歩的なことを質問しても良いんだという安心感をもってもらう)
- 研修の途中で学習内容の理解度を確認するアンケートを実施する(アンケートはGoogleフォームなどで簡単に作成可能)
集合研修と遜色のないオンライン研修を実現するためのノウハウ
集合研修と遜色のないオンライン研修を実現するには、
- 質問の取りまとめをする役割(チャット機能を活用した質疑応答をする場合)
- 受講者をブレークアウトルームに振り分ける役割(グループワークやグループディスカッションをする場合)
などが必要になるため、基本的には研修講師とは別にテクニカルサポート担当者を付けることを推奨します(テクニカルサポートを付けることでオンライン研修当日に起きるトラブル対応もスムーズになります)。
オンライン研修のFAQ
既存の集合研修をオンライン研修にする場合に気を付けることは?
基本的には、これまでにお伝えしてきた注意点を考慮いただく形で大丈夫です。
その上で、せっかくのオンライン研修なので、オンラインならではのメリットを活かせられないかを検討することをお勧めします。具体的には「これまで時間や場所の制約で実施が難しかった集合研修をオンラインで実施できないか?」です。
<検討例>
- 全国各地に散らばる内定者向けのオンライン研修
- 多忙で日程の折り合いがつかない全国各地のマネージャー向けのオンライン研修
オンライン研修は最大何名ぐらいまで実施可能?
どんなツールを利用するか次第ですが、おそらくはご想像よりも遥かに多人数での実施が可能です。例えばメジャーな「Zoom」の場合は以下の通りです。
- Zoomミーティング:最大1,000人
- Zoomウェビナー:最大10,000人
オンライン研修に反対するシニア層に、どう対応すれば良い?
カレーを作る、ウーバーイーツを使う、電子マネーを使う。
やったことがないので何となく苦手意識を持っていても、とにかく一度やってみると簡単にできてしまうことは世の中にたくさんあります。オンライン研修も同様です。
そのシニア社員が決裁者である場合は、あなたと一緒にオンライン研修の体験会に参加してみると良いでしょう。
例えば、私たちプロジェクトデザインではオンライン研修にも活用可能なビジネスゲームの体験会を実施しています。是非、お気軽に参加をご検討ください。
参考情報
オンライン研修をを成立させる上ではコミュニケーションツール(Zoom/Google Meet/Microsoft Teamsなど)に合わせたPC環境の準備が必要不可欠です。
そこで、大切なオンライン研修の場で通信トラブルが生じないようにすることを目的に、メジャーなコミュニケーションツールでサポートされているOSとブラウザと必要な帯域幅(回線速度)をご紹介します。
この記事の著者について
執筆者プロフィール
古野 知晴
富山県滑川市出身。ケーブルTV番組制作会社や雑誌ライター等を経て、2014年にプロジェクトデザインに入社。取材・キャスターの経験で培った「聴く力、伝える力」を活かして「はたらくらすコネクションin上市」事業を立ち上げから担当し、6年間で企業・店舗136社、県外からの移住者18組を取材。そのほか文章編集・校正を中心にビジネスゲーム制作に関わる。2021年6月に育休から復帰以降は、マーケティング部の一員としてWebサイトに掲載するコンテンツ作成に携わる。現在も地元・滑川市のケーブルTVでキャスターを務め、2022年からは個人的に子どもの夢を叶えるイベントを主催するなど、地域に根ざした活動を行っている。
監修者プロフィール
亀井 直人
鳥取県立鳥取東高等学校卒業、福岡工業大学情報工学部情報通信工学科卒業。SE(インフラエンジニア)として長く経験を積む。プロジェクト遂行におけるチームのパフォーマンスを引き出すためにファシリテーション技術の習得・実践を続ける。特定非営利活動法人日本ファシリテーション協会では役員(2016年~2021年理事、2019年~2021年副会長)を務める。富士ゼロックス福岡在籍中にSDGsとビジネスゲーム「2030SDGs」に出会う。ビジネスゲームが持つ力の素晴らしさに触れ、2020年に研修部マネージャーとしてプロジェクトデザインに合流する。活動を通じて関わり合う方々との対話を楽しみにしている。鳥取県鳥取市出身。蟹と麦チョコが大好き。
- 経済産業省認定情報セキュリティスペシャリスト
- PMP(Project Management Professional)
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- 数あるビジネスゲームの中から自社に合うビジネスゲームが何かを知りたい
- 自社が抱える組織課題に対してビジネスゲームでどんなことが出来るのかについて情報交換したい
- ビジネスゲームの共同開発について興味があるので少し詳しい情報を提供してもらいたい
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